13. ページ14
・
あの日から、数日。
映画の撮影は順調に進んで、クランクアップも目前に控えたある日。
・
スタジオの自販機の前でふと、耳を触ると
｢……え、｣
ピアスが、ない。
・
｢うそ、｣
すぐに楽屋に戻ってカバンの中や部屋の中、ポケットを探してみても、どこにもない。
｢……そんな、｣
あれは、高二の時。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
・
｢どうしたの、これ｣
・
忠義の部屋でいつもの様にゴロゴロしていた時に見つけた、新品のゴールドリングのピアス。
新品のタグにぶらさがったそのピアスはひとつしかなくて、もう1つは無くなっていた。
・
『あー、買ってん』
・
そう言ってベットの上にゴロゴロしてる忠義は自分の左耳を見せてきた。
・
｢ふーん｣
・
なんでか、わからないけど
タグにぶら下がった忠義のつけてるピアスの片割れから目が離せなかった。
・
『貸してみ、それ』
・
いつの間にか私の後ろにいた忠義。
手に持ってるそのピアスを忠義に渡すと
・
『目つぶって。』
｢え、なにするの｣
『ええから』
・
言われた通りにぎゅっと目をつぶると
｢……ひゃ、｣
『なんちゅー声出してんねん(笑)』
いきなり耳なんて触られたらびっくりするでしょ。
・
『お揃いやん』
・
そういって鏡越しに笑ってる忠義と目が合う。
・
｢もらっていいの？｣
『おん、そのつもりでこーてきたし』
・
鏡に映る2人の左耳にぶら下がるそのピアスを見て
鏡越しに笑いあって
｢……｣
隣を見れば、鏡越しじゃない、ホンモノの忠義の顔があって
『似合ってるやん』
そういって、笑いあった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
あのピアスは、そんな思い出のもの。
私が、忠義との思い出で唯一消せなかった、無くせなかったもの。
｢……探さなきゃ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 441人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーずケーキ(プロフ) - 彩葉さん» 勿体ないお言葉有難うございます( ；；)これからもぜひぜひ更新をお楽しみにしていただければ幸いです！有難うございます！ (2019年5月12日 10時) (
レス) id: 93aa1eee34 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉(プロフ) - チーずケーキさんの書かれるお話が大好きで前から読ませていただいてるのですが、今回更新されたお話を読んでいて胸がキューっと苦しくなりました！毎回、更新されていると嬉しくてワクワクしながら読ませていただいてます。これからも応援しています(^^) (2019年5月11日 21時) (レス) id: bcc4124b50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーずケーキ | 作成日時：2019年5月11日 19時
