愛想い想われ（緑） (ページ34)

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ミ｢いいよいいよ、だって忠義くんの後ろAさんが乗るんでしょ？私お迎え待ってるよ｣

『だってまだまだ時間あるやん、その間にチャリやったら帰れるやん』

｢……そうだね｣

そんなに私と帰るのが嫌ですか

なんて思ってしまうほどミキちゃんを誘う忠義。

そりゃそうだもんね、可愛い子をこんな暗い時間に無人の駅になんて置いておけないよね

なんてミキちゃんに対してまで嫉妬してしまう始末。

｢……私、歩いて帰るから忠義、ミキちゃん後ろ乗せてあげて｣

もうこれ以上この場にいたら2人のことを傷つけてしまう

それに、何よりもう、全部が全部嫌だった。

ミ｢そんなのだめです！Aさん一人で歩いて帰るなんて危なすぎる、｣

なんて本気で心配してくれるミキちゃん、本当にいい子なんだよ

でもね、そんなミキちゃんにさえ嫉妬しちゃう自分が何よりも嫌いなんだ。

『なんでやねん、それやったら3人で歩いて帰ろうや』

｢本当に大丈夫、ね？歩いて帰ったら時間もかかるし、どうせ家隣なんだからミキちゃんのこと送ってあげて｣

『……ほんまになんで今日そんな機嫌悪いん』

｢だから別に何も無いから。ちゃんと送ってあげるんだよ｣

『A、』

本当は、嬉しいくせに

喋りたいくせに

普通にしてたいくせに

ああ、なんで自分はちょっと特別なんて、思ってしまってたんだろうって

私より可愛い子は私の周りに沢山いるのにって

その中の一人でしかないのに、って。

可愛くもないし、めんどくさいのに

……なんで、そんなに優しくするの、って。

｢こんな時だけ女扱いしないで｣

必死に目に溜まる涙が流れないように、堪えて

忠義とミキちゃんに背を向けて歩き出す。