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風磨「…おい」
地に響くような低い声に思わず肩が上がる。
今から自分が何を言われるかなんて分かりきっている。目を合わせないように顔を背けるとそれを見兼ねて肩に手を置かれる
風磨「こっち向け」
「はい…」
恐る恐る風磨の顔を見ると明らかに不機嫌と分かるくらい、眉間にしわを寄せている風磨
風磨「お前、俺が何を言いたいか分かるな?」
「分かります」
風磨「何か言ってみろ」
「同じ奴に絡まれて学習しないやつって思ってる」
蚊の鳴くような声でそう答えると私の額にデコピンが飛んできた。
「いったぁ…なにすんの〜」
風磨「ちげーよ、何で律義に友達と待ち合わせてますって言うんだよ」
「だってそうじゃん」
風磨「だとしてもそこは彼氏とか適当なこと言って交わせよ」
ほぉ、そういう言い返しが出来るのか。ナンパとかされなれていない私には咄嗟にそんな対応が出来ないなぁと思いながら次はそうしようと心に決める。
風磨「てか俺毎度タイミング良すぎてまじヒーローじゃね?」
「私あんたのそういうところ良くないと思う」
風磨「あ?どういう意味だそれ」
店に入るなりそんなことを言い出す風磨に呆れながらも、昔と変わんないなぁって懐かしい気持ちになる。
風磨と居ると素の自分というか、口が悪かったり駄目な部分の自分も見せられる。健人君には絶対見せられないなぁ。友達の力ってすごい。
「風磨帰ってきてから、友達の有難みを改めて感じてるわ…」
風磨「なんだそれ(笑)」
「こんな口悪くて腹黒な私、彼氏には絶対見せられないもん(笑)」
風磨「逆に憎まれ口叩かないお前ってどんなんなの?俺気になるわ(笑)」
「はぁ?別にいつもいつも憎まれ口叩いてるわけじゃないしー」
風磨「でも俺と居た時はいつものAだったじゃん」
急に真面目な顔でそういう風磨。ジッと見られてなんだか動けなくなる。
ごまかすように目を逸らす。
風磨「彼氏にはこういうAは見せないの?」
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作者名:# 希羅 | 作成日時:2022年4月13日 1時