エピローグ”one” end. ページ10
”一体何が、君を変えさせたんだ?”
そう疑問を投げかけようとしていた赤井は、スマートフォンを持つ降谷の左薬指に、シンプルなシルバーリングが嵌められている事に気付き、思わず目が点になった。
頭の中の疑問はすぐに切り替わる。
「降谷君…また潜入しているのか?」
「は?」
降谷は、赤井の視線の先が自身の左手に集中しているのは分かったが、なぜその質問に至ったのかまでは理解出来なかった。
「今度は既婚者という設定なのか?
確かに、安室透の時は29歳独身、アルバイター兼探偵見習い…これではいくら外面は良くても中身に何か大きな欠陥があると言っている様なものだったからな。」
「…………」
降谷の形相が、瞬く間に鬼の様なものに変わっていく。
握り込んだ拳が小刻みに揺れる。
何も言わない降谷に対して、赤井は立てた仮説の中で一番最後の可能性を口にした。
「まさか…本当に結婚したのか?
(この男にも、そういう感情があったのか…?)」
赤井の質問に、降谷は指輪の存在を思い出した。
今までアクセサリーの類は一切身に付けない人生を送ってきた為、始めは違和感しかなかったのだが、自分が思っているよりも遥かに、知らぬ間に指に馴染んでいた様だ。
指輪を見て、Aとのあの日を思い出した降谷は、一気に沸点まで上り詰めた怒りが静まっていった。
「いや、これからだ。
…何か失礼な事考えてないだろうな。」
(なるほど…その人物が彼をここまで変えたというのか。)
「…愛の力は偉大だな。」
「お前が愛とか言うな気持ち悪い。
…今の所、一歩俺のリードってとこだな。」
「リード?」
どこまでも張り合おうとする姿勢だけはやはり変わらない様だった。
そして、降谷曰く”幸せにならなかったらスコッチに怒られる”らしい。
「
はっきり言って怖い。」
「…まさか、安室くん…その為に警察幹部の娘と」
「馬鹿な事を言うな。
そんな打算的なもので残りの人生棒に振って堪るか。
それに警察幹部の娘なんかじゃない、花屋兼料理屋オーナーの一般女性だ。」
「ホー…花屋兼料理屋ね…」
「あ」
「仕方ないから空港まで送ってやる。」
「腹が減ったな。」
「空港の売店でおにぎりでも買って食え。」
「久々の休暇だ。
それに、あの手紙に帰りの航空券は入っていなかった。
暫く日本でリフレッシュしてから帰るとしよう。」
「俺の日本からとっとと出てってくれ」
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コハク(プロフ) - ハロウィンの花嫁を視聴後、愛を込めて花束ををまた読み返したくなりました!相変わらず最高で、お腹いっぱいになっちゃいました!!これからもまた読み返しにきます!投稿ありがとうございます! (2022年4月30日 2時) (レス) id: 7f6bf31979 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - コメント失礼します。エンドラインの向こう側3,4のパスワードを教えていただきたいです。どこで聞いたらいいか分からなかったため、ここで書かせて頂きました。途中まで読んでいたのでとても気になります!よろしければお願いします。 (2022年2月13日 23時) (レス) id: 3b44c51b75 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - はじめまして。エンドラインの向こう側のパスワードを教えていただきたいのですがどこから申請すれば良いか分からずここのコメントに書かせていただきました。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします (2021年11月19日 17時) (レス) id: 88d70f8178 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりょ - はじめまして。とても楽しく読ませていただきました。赤井さんとのお墓での会話、ヒロの死の真相を知った降谷さん...もう涙を流しながら読みました。原作もこのような雪解けをして欲しいと思ってしまいます。でもひとつだけ『起用歴』ではなく『既往歴』です。 (2020年9月1日 0時) (レス) id: 63d61d9800 (このIDを非表示/違反報告)
真夏 - 虎鉄(DC一時お休み中)さん» お知らせしてくださってありがとうございます!今気づきました!!早速読んできたいと思います!とっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年6月13日 17時) (レス) id: ff5b67d1bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年7月29日 11時