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よくよく見ると、これはあの降谷零ではなくベルモットの変装なのでは?と思ってしまう程、降谷は穏やかな目をしていた。
長い間、鋭い視線しか向けられる事がなかった赤井は、降谷の変化に戸惑う。
「俺は、仲間が一人、また一人居なくなって…周りからは”死神”と後ろ指を指された。
…そんな事、俺が一番感じてた。」
また、赤井の知らない瞳だ。
けれど人の感情の機微に疎い赤井でも流石に分かる。
その目に表れた感情は”哀愁”だ。
安室透、いや、あまり接する事のなかった降谷零という男は、こんなに感情豊かで人間味のある男だったのだろうか。
(この男は…本当に、あの煮え滾る様な激情をその内に飼い慣らしていた安室君なのか…?)
そんな事を考えていた赤井は、降谷が発した次の言葉に息を飲むことになる。
「極め付けは、お前が隠し続けた景光の死の真相だ。」
「……っ⁉」
普段あまり表情の崩れない赤井も、この時ばかりは驚きに目を見開いた。
なぜ
いつから
どうやって
即座に頭の中で飛び交う疑問
喉がカラカラに枯渇し、言葉が出てこない。
「……一体、君は」
やっとの思いで口を出たのは一言だけ。
赤井はその事実の恐ろしさに、その続きを紡ぐことは出来なかった。
一体、君はいつから知っていた…?
一体、君はどうやってその真実に辿り着いた…?
それを知って
一体、君は今まで
何を思って生きてきたんだ…?
「俺を誰だと思ってる。
…と言いたい所だが、お前とコナン君が話してる所を偶然聞いた。」
「…偶然?…盗聴器か」
「その答えは黙秘させて頂きます。
ご想像にお任せしますよ、沖矢昴さん。」
突然現れた安室透に、赤井はますます訳が分からなくなる。
「でも…何となく、違和感は覚えてた。」
浅いため息の後、安室透はすぐに降谷零へと戻った。
「俺は…幸せになってはいけないと思ってた。
俺一人が、幸せになって良い訳がないと。」
目を伏せた降谷は、笑った。
(笑った…?)
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コハク(プロフ) - ハロウィンの花嫁を視聴後、愛を込めて花束ををまた読み返したくなりました!相変わらず最高で、お腹いっぱいになっちゃいました!!これからもまた読み返しにきます!投稿ありがとうございます! (2022年4月30日 2時) (レス) id: 7f6bf31979 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - コメント失礼します。エンドラインの向こう側3,4のパスワードを教えていただきたいです。どこで聞いたらいいか分からなかったため、ここで書かせて頂きました。途中まで読んでいたのでとても気になります!よろしければお願いします。 (2022年2月13日 23時) (レス) id: 3b44c51b75 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - はじめまして。エンドラインの向こう側のパスワードを教えていただきたいのですがどこから申請すれば良いか分からずここのコメントに書かせていただきました。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします (2021年11月19日 17時) (レス) id: 88d70f8178 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりょ - はじめまして。とても楽しく読ませていただきました。赤井さんとのお墓での会話、ヒロの死の真相を知った降谷さん...もう涙を流しながら読みました。原作もこのような雪解けをして欲しいと思ってしまいます。でもひとつだけ『起用歴』ではなく『既往歴』です。 (2020年9月1日 0時) (レス) id: 63d61d9800 (このIDを非表示/違反報告)
真夏 - 虎鉄(DC一時お休み中)さん» お知らせしてくださってありがとうございます!今気づきました!!早速読んできたいと思います!とっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年6月13日 17時) (レス) id: ff5b67d1bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年7月29日 11時