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自分には縁のないものだと思っていた。
「なんかね、顔が小っちゃいらしいよ。
助産師さんと看護師さん達が噂してた。
零君に似たんだね。」
そう降谷に笑いかけるAと、目の前の生き物にどう接して良いか戸惑う降谷。
救いを求める様な目をAに向けても、当の本人は”零君に似て良かったねー”なんて言いながら、いとも簡単に触れ、しかもその柔らかそうな頬をぷにぷにと突いている。
「なんかね、皆わーわー言うのに何かと理由付けて抱っこしたがらないんだよ。
あの子なんて”俺今思春期だから”…だって。
私も貧血でそれどころじゃありませんでした。
だから…
一番最初に、この子を抱っこしてあげて?」
返事もなく固まっている降谷に、こりゃ埒が明かないと悟ったAは、自由の利く右手で降谷の手を取る。
そして、降谷の右手をスヤスヤと眠る我が子の体の下へ、そして左手を首と頭の下へと潜り込ませた。
母は強い。
「首が据わってないから、しっかり支えてね。
左腕で頭と体を支えて…、右手はお尻辺りをトントンさせて…そうそう。」
降谷は恐る恐る、小さな命を抱き上げた。
軽い
けれど、重たい
この命の重さは何ものにも代えられない
降谷の小指ほどもない小さな手。
そーっとその手に、右の人差し指をそっと添えた。
「……っ‼」
きゅっと、それは確かに力強く
人に言えない仕事だってこなしてきたこの手を、何も知らない赤子がぎゅっと握り締める。
ユラユラと揺らしても、その小さな手は降谷を逃さず、求める様に離さなかった。
訳も分からず、涙が頬を伝う。
「……あったかい…っ」
「うん。」
「……A。
俺と…家族になってくれて、ありがとう。
幸せをくれて、ありがとう…っ。
”_____” 産まれてきてくれて…ありがとう…っ‼」
嗚呼、俺は
この先どんな事があっても
生きていける
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コハク(プロフ) - ハロウィンの花嫁を視聴後、愛を込めて花束ををまた読み返したくなりました!相変わらず最高で、お腹いっぱいになっちゃいました!!これからもまた読み返しにきます!投稿ありがとうございます! (2022年4月30日 2時) (レス) id: 7f6bf31979 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - コメント失礼します。エンドラインの向こう側3,4のパスワードを教えていただきたいです。どこで聞いたらいいか分からなかったため、ここで書かせて頂きました。途中まで読んでいたのでとても気になります!よろしければお願いします。 (2022年2月13日 23時) (レス) id: 3b44c51b75 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - はじめまして。エンドラインの向こう側のパスワードを教えていただきたいのですがどこから申請すれば良いか分からずここのコメントに書かせていただきました。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします (2021年11月19日 17時) (レス) id: 88d70f8178 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりょ - はじめまして。とても楽しく読ませていただきました。赤井さんとのお墓での会話、ヒロの死の真相を知った降谷さん...もう涙を流しながら読みました。原作もこのような雪解けをして欲しいと思ってしまいます。でもひとつだけ『起用歴』ではなく『既往歴』です。 (2020年9月1日 0時) (レス) id: 63d61d9800 (このIDを非表示/違反報告)
真夏 - 虎鉄(DC一時お休み中)さん» お知らせしてくださってありがとうございます!今気づきました!!早速読んできたいと思います!とっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年6月13日 17時) (レス) id: ff5b67d1bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年7月29日 11時