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「……で悪いが今日は…………
あ?…あ、ちょっと………なくて、熱がなかなか…………。」
「れ、い…さん…?」
「上……もう申請……、ああ何故か逆に喜ばれたよ。
もし何かあれば遠慮なく連絡くれ。
ああ、じゃあ、よろしく頼む。」
朝日が顔を出し始めた頃、Aは微かな物音と話し声に目を覚ました。
重たさに完全に開ききらない目は、ぼんやりと降谷の姿を捉えた。
電話を切った降谷が、目を擦っているAに気がつき、ゆっくりとベッドに歩み寄る。
「ごめん、うるさくて起こしたか。」
降谷は温くなった冷えピタをゆっくりと剥がし、そのままAの額に手を当てた。
状況が把握できていないAは、口を小さくぽかんと開け、降谷を見上げる。
されるがままだ。
「…うん、少しは下がったかな。
どうだ?まだしんどいか?」
降谷の問いに対し、Aはフルフルと緩やかに頭を振って答えた。
「零、さん…どうして、ここ」
「あっちの家に帰っても真っ暗で誰も居ないから焦った。
ここは俺の家、昨日の事覚えてるか?」
遡ってもAの記憶は曖昧だ。
「靴脱いだとこだけ覚えてます…」
「そこなのか。」
「……?」
Aは、降谷の視線の先がクシャクシャになっている降谷の枕だと気がつくも、意味がよく分からず頭にハテナを浮かべる。
「今、何か食べられそうな物作ってくるからもう少し寝てると良いよ。」
目が潤んだAの上目遣いにグッとくるものがあったが、今のAは病人だ。
切り替える様にそう言うと降谷は立ち上がりドアへと向かった。
ふとAは、壁に掛けられた時計に目を向ける。
降谷が毎日同じ時間に家を出ている訳ではないのは知っている。
本当は、毎日でも、1日の始まりである愛しいAとの朝をゆっくり噛み締めたいと思っている降谷を他所にAは思った。
鍛錬を兼ねた日々のロードワーク、そして多忙な職務に勤しむ降谷に、こんなのんびりする朝は似合わないな、と。
「零さん、お仕事行かないと…」
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コハク(プロフ) - ハロウィンの花嫁を視聴後、愛を込めて花束ををまた読み返したくなりました!相変わらず最高で、お腹いっぱいになっちゃいました!!これからもまた読み返しにきます!投稿ありがとうございます! (2022年4月30日 2時) (レス) id: 7f6bf31979 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - コメント失礼します。エンドラインの向こう側3,4のパスワードを教えていただきたいです。どこで聞いたらいいか分からなかったため、ここで書かせて頂きました。途中まで読んでいたのでとても気になります!よろしければお願いします。 (2022年2月13日 23時) (レス) id: 3b44c51b75 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - はじめまして。エンドラインの向こう側のパスワードを教えていただきたいのですがどこから申請すれば良いか分からずここのコメントに書かせていただきました。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします (2021年11月19日 17時) (レス) id: 88d70f8178 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりょ - はじめまして。とても楽しく読ませていただきました。赤井さんとのお墓での会話、ヒロの死の真相を知った降谷さん...もう涙を流しながら読みました。原作もこのような雪解けをして欲しいと思ってしまいます。でもひとつだけ『起用歴』ではなく『既往歴』です。 (2020年9月1日 0時) (レス) id: 63d61d9800 (このIDを非表示/違反報告)
真夏 - 虎鉄(DC一時お休み中)さん» お知らせしてくださってありがとうございます!今気づきました!!早速読んできたいと思います!とっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年6月13日 17時) (レス) id: ff5b67d1bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年7月29日 11時