愛を込めて花束を3【降谷零】

愛を込めて花束を(完) ページ23

理解されず、孤独に打ちひしがれた夜もあった。
一見すると、幸せとは程遠い日々だったかもしれない。

『Aちゃん！おかわり！』

『Aちゃん、この前の麻婆豆腐すっごい美味かったよ！
中華は得意じゃないって言ってたのにありがとう！』

『親父と初めて飲む酒は、此処でが良いな。』

けれど、沢山の出会いがあった。
沢山の笑顔に巡り会えた。
私にとっては
あの日への軌跡も、間違いなく”幸せ”だった。


『無理に描いた理想はいつか必ず限界がくる』

『俺の、生きる理由になって欲しい。』

『私も、貴方が好きです。』

けれど

大切な人に大切だと
素直に想いを伝えることが出来る
お互いの目を見て笑い合える
そんな何の変哲もない1/365日

貴方がいるだけで全てが特別に変わる

そんな今日の方が、ずっと幸せ。





「あ、忘れてた。
これ、プレゼント。」

恥ずかしげもなく差し出されたのは
3本の薔薇の花束

「今日…なんかありましたっけ？」

「いや、何もないよ。
ただ俺が贈りたかっただけ。
愛しい奥さんに突然花をプレゼントする事は、何か可笑しいか？」

「ううん…ありがとう！」

「どういたしまして。
(その笑顔が見たくて、つい買っちゃうんだよな…)」

「あ、言い忘れてました。」

「ん？」

「おかえりなさい、零くん。」

「…ただいま。」









さよならを言おう。

「皆さん、今日まで本当にありがとうございました。」

そして

またいつか。








いつまでも贈り続けるだろう

愛するただ一人へ

愛を込めて 花束を



『今…幸せですか？』

「ああ…」

『幸せだ』
「幸せだ」

END.

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