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02話 ページ10

「お待たせしました。
こちらで…いかがでしょうか?」


渡された白を基調として作られた花束に、降谷は思わず感嘆の息を漏らした。


「…綺麗な花ですね。」

「気に入って頂けたなら光栄です。」


そのメインの花は、高貴な人物を思わせる様な厳かさがありながらも他の花とうまく纏められている。
降谷は、あいつに似合いそうだ、と言葉もなくその花をただ見つめた。


「間違っていたら申し訳ありません。
差し上げる方は、故人、ですよね?」

「…はい。」


黒いスーツに黒いネクタイ、隠す事はせずに語った過去形での想い出、そして同じ物を2つ頼んだ意味。
彼女がその答えにたどり着いたのはごく自然な事だった。


「本来であれば切り花には延命剤を入れているのですが、故人に差し上げるお花にそれを入れるのは何か違う気がして…この店ではお入れしていないんです。
大丈夫でしたか?」

「…確かに、その通りだ。」


もう十分生きた、悔いはない、と何の未練もなくこの世を去る事の出来た人間は全体のどれ位の割合だろう。
なくなった命の大半は、生きたくても生きる事が出来なかったものだと降谷は思う。
故人に話を聞くことは出来ない。
けれど、あいつは、
そして彼等は。


「エーデルワイスの花言葉は…
”大切な思い出”です。」

「…っ‼」

「故人と話す事は出来ません。
その方が亡くなった(その)日、何を思い、今何を思っておられるのか生きている我々には知る術がありません。
たかが花と仰る方も居ますが、言葉に出来ない想いを伝える事が出来るのがお花なんじゃないかなって、私は思います。」

「……っ」

「思い出を語ることが出来るのは、生きている人間の特権です。
素敵なご友人を持って、その方は幸せでしょうね。
あ、あと…」








心が救われる様な、染み入る言葉だった。

今日は久々にあいつの死と向き合える様な気がする。

同時に思う。
俺一人だけが、幸せになって良いのだろうか。




『じゃあな…(ゼロ)

お前はあの日、何を思ったんだ。

「…景光」

02話 ”大切な思い出”→←02話



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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております!ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません!本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ゚Д゚)!!免停は免れたのでしょうか((( ;゚Д゚)))?気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月15日 0時

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