02話 ページ9
彼女は後ろの花々を振り返り、降谷に問いかけた。
「贈り物ですか?」
「…はい、大切な友人に。
友人って言っても、幼馴染みたいなものだったんですが。」
その言葉を聞いて、彼女は花を見繕い始めた。
その動きは、花を極力痛めない様に慎重な手付きで、けれどスピーディーなもので。
それは彼女が働き始めて長い事を伺わせる。
そんな考察をされているとは知らず、彼女は再び降谷に問う。
「…良ければ、どんな方かお聞きしても?」
深入りはしてこない、と思われた彼女からの質問に降谷は思わず目を瞬かせた。
「あ!差し支えなければで大丈夫です。
私の勘違いだったら申し訳ありません。
…その人の事、話したそうに見えたので。」
客によってそのスタンスを変えるAの接客に降谷は素直に感銘を受けた。
(あいつの事を、堂々と話しても良いんだろうか。)
「…何でも器用にこなす奴で…、自分にはない何かを持ってる人だったんです。」
一瞬の迷いの後、降谷は素直に口を開いた。
一度開いた口は想いを留めることは出来ず、降谷は手を動かしながら静かに耳を傾けてくれるAに話し続けた。
あいつが生きた証を、生きていたという証を誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております!ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません!本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ゚Д゚)!!免停は免れたのでしょうか((( ;゚Д゚)))?気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月15日 0時