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02話「エーデルワイス」 ページ7

※ネタバレとは異なりますが、原作者の方より公表されたスコッチさんの下の名前を含みます。



あの巨大な組織が壊滅してから、長年の潜入捜査の終わりと同時に、安室透もその生涯に幕を閉じた。

筈だった。




「少し用事があるから、午後に登庁する。
もし何かあったらこっちに連絡くれ。」

特殊な案件を一手に引き受ける公安警察に、定時出勤定時退社という概念はあまりない。
風見への連絡を終え、降谷はスマホをスーツの内ポケットにしまった。
今日の降谷はいつもと少し違う。
いつも着ているグレーのスーツではなく、黒のスーツと黒のネクタイ。
いつも着用しているスーツは、警察庁のロッカーに予備がある為、その辺は抜かりない。

降谷は、ふと自身の両手を見やる。


「男相手だとしても、手ぶらは頂けないか…」


途中で、花屋に寄ろう。
この辺の花屋について明るくないが、歩けばどこかしらにあるだろう。
それ位の気持ちで降谷は目的地に向かって歩き始めた。

数分して、花屋を見つけた。
こじんまりとしている店内には、所狭しと色とりどりの花が飾られていた。
博識な降谷でさえ見た事もない花が沢山並ぶ。

店員は2人居た。
1人は老人を相手に談笑していた。
足を止めた降谷に気付いたのかもう1人が奥から小走りで駆け寄ってくる。


「いらっしゃい…ませ…」


降谷も、店員も、お互いの顔を見合わせて固まった。
どちらともなく口を開こうとしたその時、思わぬ方向から声がかかった。


「あー‼‼安室さんだー‼‼」

「…っ⁉」


パタパタ、バタバタと自身のかつての名を叫びながら駆け寄ってきたのは


「ひ、久しぶりだね…君達。」

「安室さんもお元気そうで何よりです!」

「いきなり安室さんポアロ辞めちゃって歩美ビックリしたんだから!」

「常連だった姉ちゃん達も、『安室透が居なくなった事を実感させられるポアロにはもう来れない!』って泣いてたんだぜ!」



「あむろ…」

それは、降谷に聞こえるか聞こえないかの小さな囁きだった。

小学一年生を相手に、己のトリプルフェイスの顛末を話す必要がないと判断したあの日の自分を激しく殴りたい。

02話→←01話 完食



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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております!ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません!本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ゚Д゚)!!免停は免れたのでしょうか((( ;゚Д゚)))?気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月15日 0時

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