07話 ページ46
降谷の言葉は突拍子もないものにも思えたが
「…バレました？」
Aはバツが悪そうに小さく笑って言った。
「お腹一杯な状態でこの陽射しにあたってたら、なんだか少しだけ眠くなっちゃいました…。
あ、退屈だとかそういう」
「わかってますよ、大丈夫。
少しだけ、横になってはどうですか？」
「いや、流石に…それは…」
渋るAだが、その瞳は僅かに潤み、トロンとし始めている。
降谷も、引き下がりはしなかった。
心地の良い眠気に誘われ判断力の下がっている彼女へ、もう一押し。
「差し支えなければ、ご自宅の近くまでお送りしますので。
何時までに起こせば大丈夫ですか？」
「今日の仕込みは…終わらせて、あるので…17時にお店に向かえば…。
じゃあ…10分だけ…。」
舟をこぎ始め、ぼそぼそと言葉を刻むと、Aは力尽きた様にレジャーシートへと身体を横たわらせた。
男として眼中にないのかと落ち込むべきか、警戒感は持たれていないと喜ぶべきか、降谷の心中は複雑だ。
降谷は、着ていたジャケットを脱ぐと、横たわるAの身体にそっと掛けた。
そして静かに、微睡むAの隣まで近付き、起こさぬ様に細心の注意を払いながらその小さな頭を持ち上げると、その下に自身の脚を滑り込ませた。
決して下心ではない……多分。
風がそよぎ、降谷とAの髪を遊ばせる。
撫でたくなる気持ちを抑えて、降谷の左手は舞うAの髪を抑えるにとどめた。
「いつか…」
「いつか貴方も、俺の事を”死神”と思うんだろうか…。」
自身が、陰で一部にそう噂されている事は知っている。
潜入捜査を終え、警察庁内でも目立つポジションに立った以上、仕方ないとは割り切ってはいるが、あまり気持ちの良い呼び名とは言えない。
このまま距離を縮めていけばいくほど、いずれその矛先が、今目の前に居るAに向くのではないかと、惹かれていく一方で、降谷は時々無性に怖くなる。
突然
「じゃあ…」
「え？」
「いっしょ…です、ね…
わたしも…おんなじ…です、から…」
「…っ⁉」
返される筈のない言葉に対しての思わぬ返事に、降谷の心臓は飛び出そうな程に脈打った。
ただの寝言なのか、慰めなのか、それとも。
その言葉の真意を問おうにも、覗き込んだAは穏やかな寝顔で、スゥスゥと小さな寝息を立てている為に、叶う事はなかった。
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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております！ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (
レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません！本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ﾟДﾟ)！！免停は免れたのでしょうか((( ；ﾟДﾟ)))？気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虎鉄
| 作成日時：2018年6月15日 0時
