07話「ハムサンド」 ページ42
『じゃあな。
…いつか、良い報告が出来る様に頑張ってくるよ。
これからデートなんでね。』
と豪語したものの
「女性をお待たせしてしまうなんて…本当にすみません。」
「え?わ…安室さん、え、車?
てっきり歩いていくのかと思ってました…。
それに、元々1人で行くつもりだったのにむしろ付き合って貰う形になっちゃって申し訳ないです。」
安室透としてなんだけどな。
降谷は、Aを車内にエスコートする為に運転席を降りた。
ー数時間前ー
『ごめんなさい、この前子供達との会話を聞いてしまったんですけど…安室さん、前に喫茶ポアロで働かれてたんですか?』
『……えぇ、まぁ短期間でしたけど。』
『じゃあ、ハムサンドがなんで無くなっちゃったのかご存知ですか?』
降谷は、ハムサンドという単語が聞こえた時点で、心当たりのありすぎるその言葉に喉の奥がヒュッと縮こまる。
『前に凄く美味しいって噂を耳にしてこの前お店に行ってみたんですけど、メニューになくて…。
店員さんに聞いたら、新人だから分からないって言われて、もう1人の方はお忙しそうだったので聞くに聞けなくて…。』
それもそうだろう。
レシピこそ公にしていたが、あのハムサンドを作っていたのはAの目の前に居る降谷零もとい安室透で、その安室は元々実在しない人間で、その安室透はもう役目を終えて居なくなったのだから。
むしろ意図せずこうなってしまったが、再び安室透として人と接しているこの状況の方が可笑しいだけなのである。
けれど
『すごく楽しみで時間作って行ったから、それから他のサンドイッチ食べるのがなんだか悔しくて、食べられないんです。』
心底残念そうに、けど肩を竦めて笑うその姿を見て、意外と頑固なんだな、おどけて笑うお茶目な姿も可愛いなと思ったのも束の間、つい口に出てしまった。
『お作りしますよ、お望みのハムサンド。』
笑うなら笑えば良い。
少なくとも、あいつらなら、特に内1人は腹抱えて笑いながら”中学生かよ”とでもからかってきただろう。
昔から俺を知る1人は、目を丸くさせたかな。
間接的にだとしても、Aに求められた気がして、嬉しかったんだ。
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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております!ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません!本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ゚Д゚)!!免停は免れたのでしょうか((( ;゚Д゚)))?気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月15日 0時