05話 ページ33
関わっては面倒そうだと、来店した時より微かに気怠げにひたすら食事を進める降谷に思わぬ白羽の矢が立った。
「そんなのあの兄ちゃんにも言えるじゃーん！
あんなイケてる兄ちゃんだったら、彼女の1人や2人居るだろうよー…Aちゃんがわざわざ作ってあげなくてもさー！」
「……」
酒は人の気を大きくする、とはまさにこの事か、と風見はげんなりする。
突如巻き込まれた隣の席の上司の顔が見れない。
その降谷は、”余計な事を…”と青ざめるものの”酔っ払いの戯言だ…”と無視を決め込む。
「菊池さん。
今すぐに口を慎まないと、奥様に連絡入れてここまで迎えに来て頂きますよ？
ついでに奥様に、明日用のとっておきの雑炊レシピを伝授しましょうか。
確か、ベランダ菜園の唐辛子が実をつけ始めたって言ってたような…」
「げっ…‼そ、それは勘弁…っ」
「では、これを飲んで酔い覚まして下さい。
他のお客様にご迷惑を掛ける様でしたら…」
「ごめんなさい…っ‼」
「分かればよろしい。」
そう言うと、Aは水の入ったコップを2人組の前にドン、と置いた。
隣でケラケラ笑っていた杉田、という男もそれを皮切りに黙った。
店内に平和が訪れる。
半ば強制的だが。
「すみません、騒がしくて…。」
「い、いえ…‼」
「本来酒を扱う店は、これ位の喧騒があって当たり前だろう？
いつも俺1人だったからちょっと新鮮なだけで、気にしてないから大丈夫。」
突然絡まれるというハプニングはあったが、何より、Aが常連の頼みを断った時点で降谷は上機嫌だった。
目の前に並ぶ料理は、自分の為だけを思って作られたものだ。
努めて大人な対応を取った降谷に、店の端から端へ声が飛ぶ。
「よっ‼兄ちゃん‼中身も良い男だねぇ‼」
「菊池さん？」
「はい、ゴメンナサイ。」
示し合わせたかの様な軽快なやりとりに、思わず風見は小さく吹き出してしまう。
一気に自身へ、注目が集まり焦ったのも束の間、店内が一気に笑いに包まれる。
横に居る降谷でさえ、肩を震わせ笑っていた。
なんて、温かい場所なんだろう。
風見は、その重さこそ分かってはいたが、今まで、自身が守る物は”日本”だという漠然とした感覚しかなかった。
けれど今この瞬間、自分が今まで何を守ってきたのか、改めて目に見えた様な気がして、風見は自分の仕事がより一層誇らしく感じた。
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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております！ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (
レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません！本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ﾟДﾟ)！！免停は免れたのでしょうか((( ；ﾟДﾟ)))？気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虎鉄
| 作成日時：2018年6月15日 0時
