05話 ページ31
お互い無言で食べ進める。
降谷の言葉通り、どれをとっても美味だった。
ふと風見はある事を思い出す。
「そういえば夕方頃、丁度降谷さんが席を外されてる時、本庁にあの人から連絡が入ってましたよ。」
「あの人…?」
「赤井そう…、赤井です。」
風見は念の為、赤井に対し敬称をつけて呼ぶ事を避けた。
「……で、何の件でだ。」
「
「どうせ手違いなんかじゃなく書類を溜めに溜めてたか、こちらに報告するまでもないとでも高を括っていたんだろう。
あの男がデスクワークする姿なんて、似合わなさすぎて笑えると思ったが、一周回って笑えないな。
とはいえ、しっかり仕事はして貰わないとこっちが迷惑を被る。」
「…まだそんな感じなんですね。」
「当たり前だ。
散々日本で好き勝手暴れた奴らだぞ。」
一瞬レンゲを持つ手が止まったものの、すぐにまた雑炊を口に運びながらも分かりやすく眉間に皺を寄せた降谷に、風見は苦笑いした。
しかし、未だに折り合いの悪い(風見が見る限り、降谷の一方的な敵意だが)男の話題に対して、この場所だからこの程度の反応で済んでいるのか?とプラスに考える事にした。
「そういやAちゃん、お見合いの話出てるってほんと⁉」
「…⁉……っ、ゴホ…っ‼」
「降谷さん大丈夫ですか⁉」
「わ…大丈夫ですか?お水どうぞ。」
そう言い降谷の前にコップを差し出すと、Aは再び陽気な2人組に向き合った。
「また誰から聞いたんですか、もう…。」
「ここの常連同士、ここ通じて仲良くなっちゃってるからね‼」
「厄介この上ない人達ですねー…。」
「で?ほんとなの?」
隣を見るのが忍びなくて、風見は見るのではなく気配で降谷の動きを伺った。
表情は分からない。
突然の事に噎せた呼吸は既に収まっていたが、差し出されたコップにも手を伸ばさず、手に持つレンゲもぴくりとも動かない。
「田舎は25越えれば殆どが結婚してますからね。
元々心配性な両親がうるさいだけです。
今時この年齢で1人なのは普通な事なのに、やれ帰って来いだ、東京は危ないだの…。」
「まぁ、そりゃあ心配だろうなぁ…。」
「たまに出掛ければ、事件に巻き込まれたりするものだから余計心配掛けてるみたいで…。
前にもテロとか色々ありましたしね。」
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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております!ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません!本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ゚Д゚)!!免停は免れたのでしょうか((( ;゚Д゚)))?気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月15日 0時