05話 ページ25
建物を出て、数分歩くと路地が見える。
飲み屋街とは一線を画すその場所には、安心を覚える様なオレンジがほんのりと灯っている。
橙色の前に立ち、掛けられた暖簾に記された店名を心の中で復唱する。
「…すごい名前ですね。」
「…ああ、そういやそうだな。」
ぼそりと呟いた風見の言葉に、降谷は今まで店名を知らずに通っていた事に気がつく。
風見は、ふと昼間に仲良く肩を寄せ合っていた同僚達を思い出した。
「…そういえば、あいつらが何か言ってたな…。
この近くに、警察官としては行っておかなきゃいけない店があるだかないだか…多分ここの事ですね。
それにしても一体、どんな店主が…。」
「そうか…あいつらに言っとけ。
ここの店主は死ぬほど怖いから、行くのは止めとけって。」
「え、降谷さん来た事あるんですか？
しかも死ぬ程怖いって…」
この上司が言う程なのだから、相当なのだろうと思ったが想像にも及ばない。
暖簾を前に、食欲の唆る良い香りが鼻を擽っても、一歩進むどころか足を引きそうになる風見を尻目に、降谷は笑って引き戸を引き、暖簾を潜った。
降谷に続く様に、風見を意を決して中に入る。
「いらっしゃいませ」
程よい喧騒の中で、凛とした声が聞こえる。
先に入った降谷は、勝手知ったるままに席についた。
(いらっしゃいませ？…って事は店員…？)
降谷さんが決めた店だ、と腹を括ったばかりだというのにあまりにものんびり流れるこの空気に風見は呆気に取られる。
「え、え？」
「どうした風見。
邪魔になるから早くこっち来い、席につけ。」
風見はのろのろと降谷の隣に腰を下ろす。
したり顏の降谷を見てもなお、風見は混乱を隠せない。
「今日はお早いお帰りなんですね。
そんな時位早く帰って、身体を休めないと…って言いたい所ですけど、来て下さってありがとうございます。
どなたかと一緒にいらっしゃるのは初めてですね。」
「ああ、たまには部下を労わらないと。
それに、今日はいつもよりゆっくり食事が出来そうだ。
何が出るか楽しみだな。」
風見を置いて交わされる2人の会話。
そして、名前は改めて風見と向き合う。
「初めまして、ここの店主の桜木Aと申します。
零さんにはいつもご贔屓にしてもらってまして…こうやって、お仕事仲間の方を連れていらっしゃるのは初めてですが、お会い出来て光栄です。
以後お見知りおきを。」
風見は頭を殴られた様な衝撃を受けた。
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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております！ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (
レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません！本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ﾟДﾟ)！！免停は免れたのでしょうか((( ；ﾟДﾟ)))？気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虎鉄
| 作成日時：2018年6月15日 0時
