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01話「肉じゃがとはちみつレモン」 ページ1

【腹が減っては戦は出来ぬ】
言い得て妙だ。
だが腹を満たす間にも、この国のどこかで闇が蠢いている。
そう思うと腹を満たす一分一秒さえも惜しいと思う自分が居た。
今の降谷にとっての食事という行為は、時間の無駄遣いとさえ言える。


「降谷さん…今日もそれですか…?」

「ん?ああ。」


最近出来たらしい彼女の手作りだと頬を緩めながら弁当箱を開く部下の横で、降谷は朝コンビニで買ったウィダーインゼリーとカロリーメイトを取り出す。
しかも、早朝ラッキーくじとやらで当たった惣菜付きだ。
適当に選んだ肉じゃがコロッケとはいえ、一品加わるだけでいつもに比べると豪勢な昼飯だった。


「お前こそ、そんな小さな弁当箱の量で足りるのか?」

「……後でコンビニ行ってきます。」

「これやる。」

「え、降谷さん…っ⁉」

「上に呼ばれてるのを忘れてた。」


降谷はカロリーメイトをウィダーインゼリーで流し込むと、一口だけ齧ったコロッケを半ば強引に部下に手渡した。
警戒感は別として、人が手をつけたものを食べられないという様な繊細な人間は、恐らくこの部署では生き残ってきていない。
部下が受け取ったのを確認すると、降谷は椅子から立ち上がりドアを目指す。


「前は、よく自炊してたでしょうに…」


恐らく独り言であったであろうその言葉を降谷の耳は拾い上げた。
ドアノブに手をかけ、部屋を出る寸前、降谷は部下を振り返りこう言った。


「それは安室透の時の話だ。」




【腹が減っては戦は出来ぬ】

腹が減ろうが満たされようが、犯罪者は待ってくれない。

01話→



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虎鉄(プロフ) - 朔夜さん» この話において優しいは最高の褒め言葉です、ありがとうございます涙。まさにその通り、ちょろっとしか知りませんがその方をイメージしております!ほっこりをお届け出来ているなら心底ホッとしました。 (2018年6月30日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - あー、なんて優しい話だー。うっかり某特命係の行きつけを思い出し、かってにリンクさせてホッコリ.....。幸せという花束、ありがとう(^-^) (2018年6月30日 19時) (レス) id: 52c615fe9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 即減速したので大丈夫でした笑。この道路でこの制限速度はちょっと…と思いながらも、車社会なので一発免停に怯える毎日です。ご心配お掛けしてすみません!本当にいつもありがとうございます涙。 (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(プロフ) - ぴよこさん» 頑張ってきた発言にホロリときそうでした…数字に囚われて精神的に更新に追われてた部分があったので、2日休むだけで大分プレッシャーから解き放たれました笑。未だスランプ中ですが汗。警察学校組を下手に書きたくないってのもあるかもしれません… (2018年6月27日 20時) (レス) id: e9fa573a9b (このIDを非表示/違反報告)
ぴよこ(プロフ) - そして覆面Σ( ゚Д゚)!!免停は免れたのでしょうか((( ;゚Д゚)))?気を付けてください(>_<) (2018年6月25日 21時) (レス) id: 3760492a40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月15日 0時

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