文字のない愛を。-2- (ページ6)

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おじさんは、明らか自分より年下の男性に対して少しキツめに言葉を返す。

△「申し訳ありませんが、それは出来かねます」

？「彼女嫌がってますよ」

　

△「いや、でも万引きをした可能性がある子ですのでちょっと事務所で話…「僕、近くで見てたましたけど、この子盗む素振り全くありませんでしたよ」」

後ろの男性はそう言って私を庇ってくれるからか、おじさんは動揺と苛立ちで私の腕を掴む力が強くなり、思わず顔が歪む。

それに気付いた男性は、おじさんの手を無理やり振り解き、私を自分の後ろに隠した。

△「おいっ、何して…」

　

？「そういえば。男の人がこの前、ここで女の子を無理やり連れてこうとしたっていうのを噂で聞いたんですけど…

あれ、あなたですよね」

△「何言ってんだっ、人違いに決まって…」

？「あー、証拠ならありますよ。僕の友達が写真撮ってたので。見ます？

それから…あなた、店員さんじゃないですよね」

　

「えっ…？」

？「事務所連れてくなら、社員証なり見せるのが筋だと思います。

何なら僕が今からあなたのこと店の人か警察に突き出してもいいんですよ？」

警察、の一言で大分怯んだおじさんはさっきまでの勢いを失い、足速く逃げていった。

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？「ごめんね、急に引っ張ったりして。

大丈夫だった？」

男性は私の方を向き、私の腕が怪我をしていないか確認する。

「大丈夫です、助けていただきありがとうございます」

？「あーゆー人、ここら辺出やすいから気を付けた方がいいよ。

俺の後輩も騙されてホテル連れてかれることあったから」

「マジかっ…」

マジマジ、と返す男性はしゃがんで、さっき私が床に落とした商品を拾う。

私はそれを受け取ろうとするけど、彼は一向に渡してくれない。

？「財布、探してたんでしょ。

持ってるから早く出しな」

「え、あ、ありがとうございます」

ほんとに見てたんだ

周りはあんなに素通りしてたのに、この人は味方でいてくれた。

それがどんなに有難いことか。

少なくとも自分はホテルに連れて行かれなくて良かったと、心の中でホッとする。

私は言葉に甘えて急いで電子マネーを探した。見つけ出し、バッグを閉じると彼は少しびっくりしながら、今の子は電子マネーで払うんだ…と呟いた。