文字のない愛を。-2- (ページ39)

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目的地に着いたのは集合から約４０分ほど遅れた時刻だった。

遠目でも分かる。

先生たちが険しい表情をしているのが。

あの先生がとてつもなく怒っているのが。

一人の生徒が私たちに気付くと、ざわざわと一気に騒ぎ始めた。

遅くなってすみません、と全員で謝ると担任の中島が私たちの顔を見ながら言葉を紡いでいく。

健「誰かが悪いとかじゃなくて、一人一人がもう少し責任を持って行動すべきだったよね」

簡単に言えば説教で、顔や言葉に刺はあるけども彼なりの優しさがある。

私たちはただ、彼の言葉にはい、と相槌を打ったり、頷いたりしか出来なかった。

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終わりを迎えた頃、隣で聞いていた轟木先生が私からもいいかしらと前に出る。

轟「まず、あなた。中島先生が話してるというのにその態度は何なの？

ちゃんと地に足をつけなさい」

ビシッと指す先は紛れもなく私で。

さっきの中島とは正反対の刺しかないような言葉ですぐ聡に体を下ろしてもらった。

まだかなり痛む足は正確に立っていられなくて、右に重心をかける形になる

轟「それで？

このグループのリーダーは誰」

「私です」

轟「はっ、あなたなの(笑)

どうして遅刻したのか説明してちょうだい」

健「先生、他の生徒もいますし」

轟「中島先生は黙っていてくださる？」

ブチ切れているとしか考えられない彼女の目は誰が見ても分かる程、恐ろしい。

周りの空気も一気に静かになり、怖さを一層際立たせる。

事情を簡潔に説明すると、彼女は眼鏡を整えながら冷たい視線を私に向けた。

轟「はぁ…要するにあなたが怪我しなければ間に合ったのね」

慎「は？ Aは関係ないだろ、それに俺が…」

轟「分かる？リーダーであるあなたが無責任な行動をしたせいでみんなに迷惑をかけたのよ。

責任持って謝りなさい」

聡「ちょっと。その言い方、酷すぎませんか」

轟「悪いと思ってるならさっさと謝りなさい！」

「っ、…」

　

キーンッと金切り声が頭に響き、落ち着いていたはずの気怠さが急増し、頭に右手を伸ばす。

全部、私が悪い。

先生が言ってることは正論

私が怪我さえしなきゃ…

頭をループする彼女の言葉と自責にますます駆られていくばかり

轟「ちょっと、聞いてるの？！」

彼女の怒りを最後に保っていた意識が途絶えた。