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風「いーじゃん。沖縄とかうらやま」
「羨ましいんですかねー」
風「学校の行事で行けるんだから得だろ」
いつものテーブル席で勉強する私にナポリタンとアイスコーヒーを持って来てくれる菊池さんと他愛のない話をする。
これもこの店に来てから相変わらずの日課になってしまった。
もう従業員全員に覚えられたくらい、週一のペースでここに来ちゃってる。
完全に『常連』の地位だよね。
菊池さんとは歳も近いし同年代の感覚で会話できるから私には気軽に話せる人である。
たぶん、彼も彼で、私と話したいのか注文品を持って来たと思ったら正面の席に座るし、彼から会話が始まることが多い。
だから互いにそう思ってると勝手に解釈してる。
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風「で、沖縄のどこ行くのさ」
「首里城とかー、恋愛スポットとか？」
風「は、恋愛スポットなんかどこでもあんだろ。
もっと有名なとこ行けよ」
でも価値観はあまり合わないのかもしれない…
まぁ恋愛スポットは慎太郎くんの案だけど。
彼の話を聞きながら熱々のナポリタンにフォークを潜らせ口に運ぶと、トマトの酸味と麺が絡み合って美味しい。
これはリピートしよう。
喫茶店のナポリタンって下に卵が敷いてあって、これが堪らなくいいんだよね。
メニューにチーズもトッピングできるってあったから今度はそれにしよっかな。
「んー、沖縄って他にあるかなぁ」
風「あるでしょ。
てか、俺の時、白川郷だったんだからな」
「それはその高校選んだ菊池さんが悪いよ」
風「おー、言ってくれんじゃん？」
勉強頑張ってるからケーキご馳走してやろうと思ったのになぁ。
なんて、ニヤつきながら言う菊池さんは明らか確信犯で。
けど、その誘いにまんまと乗ってしまう私も私。
菊池さんが作るケーキ美味しいんだもん…
詫びると菊池さんは席から立ち上がり、私の頭に両手を置いたら、わしゃわしゃっと撫でる。
それは側からみれば犬とかペットにするようなもんだ。
私は犬じゃないんですけど…
「ちょっ、髪が」
風「お土産楽しみにしてまーす」
そう言って彼はお盆を脇に抱えながら別のお客さんのところへ行った。
もう…髪の毛ぼさぼさになったじゃんか。
菊池さんの土産は適当にしてやる。
ていうか寧ろ何も買わずに帰って来ようかな。
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作者名：ぶぶ | 作成日時：2020年11月14日 5時
