文字のない愛を。-2- (ページ33)

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慎「つか、A！呑気に読んでんじゃねーよ」

いやあんたたちで仲良く議論してたじゃありませんか。

仲良くて入り込むのは邪魔だと思ったんですけど。

パンフレットは慎太郎くんの手によって、ひょいっと私の元から消えていった。

「なんかごめん」

慎「じゃ、とりあえず有名な場所とか行かない？

恋愛スポットとかそういう系の！」

石「たろくん、彼女と別れたもんね」

慎「うっせ！お前だっていないくせに！」

聡「俺も行きたいなぁ、Aはどう？」

「え、あ…うん。行きたいかも」

最早私の意見は賛成しか残ってないような雰囲気になっていて。

おずおずと言ったら、決まり！と慎太郎くんが嬉しそうに笑った。

　

どうやら、慎太郎くんは彼女と別れたらしく。

俺から振ったんだよ！と何か言ってるけど…

新たな恋を見つける為にも恋愛スポットは欠かせないと彼は豪語している。

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すると、

廊下側にいたはずの中島が私たちの近くまで来ていたから、私は慌てて彼を見ないように俯く。

相変わらず今日も身なりがちゃんとしている彼から漂う香水の香りにホテルでのことが頭の中をループする。

健「はいはい、こちらのグループはどこ行くの？」

慎「心音が恋愛スポット行きたいって言うからみんなでいこーぜってなってたとこ」

石「ちょっ！たろくんが言い出したんじゃん」

健「えー、いいじゃん！恋愛成就の所色々あるらしいから回れるといいね」

最近、この人のことが頭中ループしている。

今までそんなことなかったのに。

あったとしても目の前に彼がいた時とかくらいで、

いなかったら別に考えることもなかった。

だけど、あの日からいるいない関係なく、ふとしたら考えてしまって…

もっと言えば、彼とのキスも思い出してしまい顔が熱くなる自分がいる。

あぁ、こんなはずじゃないんだけどな…私

健「で、班長は誰？」

慎「えー決めてないやぁ。じゃ、しゃがんでない奴が班長！」

「…え？」

健「はい、Aな。頼んだよ」

気付けば慎太郎くんたちはしゃがみ込みながら笑っていて。

ぼやーっとしていた私は嵌められたことに数秒遅れて理解した時には目の前で中島が微笑んでいた。

…話ちゃんと聞いとくんだった。

　

それに、

彼の微笑みを見てちょっとカッコいいと思ったのは何かの勘違いだ。