文字のない愛を。-2- (ページ32)

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夏休み明けって何かと行事が多い。

体育祭、文化祭、演劇鑑賞とか…うちの学年に至っては修学旅行も。

ちなみに、今は修学旅行の自由行動の内容を詰め込んでいる最中

慎「あー、沖縄行けんのかね」

石「先生たち今日会議やって決めるみたいだよ」.

慎「じゃあ中島次第っつーわけか！頼んだっ！」

そう慎太郎くんが二拍手して祈る先は、廊下側の生徒たちとわいわいしている担任の中島

実は、沖縄に台風が来るとか来ないとか。

修学旅行が中止になるとか、ならないとか。

まぁ当たり前にそれを楽しみにしている生徒たちは無くならないことを切に願っているわけで。

だからって、いくら中島でも他クラスの先生相手に意見が通用するとは思えないんだけど…

そんなことを斜め左前に座ってる慎太郎くんに言ってみると、彼はチッチッチと右の人差し指を左右に動かした。

慎「A、うちの学年主任。知らねぇのか？
中島ぐらいのイケメンで対抗すればイチコロよ」

聡「あー、轟木先生か。確かに、面食いそう」

轟木先生、聞いたことあるよーな…

眼鏡の色がピンクできっつい感じだった気がする。

聡と慎太郎くんがそんな先生の話題で盛り上がるのを隣で見ていると前にいた心音がねぇ、と私の肩を叩く。

夏休み明けに会った彼女は髪が肩くらいまで伸びていて、少しお姉さんっぽく見えて

今日もストレートの黒髪から香る甘い匂いが鼻を擽ぐる。

石「Aちゃんは沖縄行きたい？」

「んー…どうかな。でも、行ったことないから一回はってのはあるかも」

石「沖縄、この時期もまだ暑いのかな～

私暑いのあんまり得意じゃないんだよね」

「行きたくない感じ？」

石「どっちかっていうと雪国に行きたい(笑)」

心音はいつも肌白いからなぁ

前にも何か、肌弱いから日焼け止め無いと駄目とか話してたし。

石「でも行くならあれ食べたいんだ！

ゴーヤチャンプルー！」

慎「は？お前そんな渋いもんじゃなくて沖縄そばだろーがよ！！」

石「ゴーヤチャンプルーは渋くありませーん」

聡「じゃあ間を取ってサータアンダギー」

慎「いや全然間取ってないからな？」

なんかよく分からん会話になってきたんだが。

…とりあえず適当に場所探すかぁ

沖縄の名物料理について議論が始まった３人とは反対に私は手元にあるパンフレットをパラパラとめくった。