文字のない愛を。-2- (ページ29)

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私が正座をしたからなのか、

中島は少し怒り気味に私に話し掛けてきた。

健「つーか、言っとくけど。

これ犯罪もんだからな？
男が未成年ホテル連れてくとかマジ有り得ないし」

「…すいません」

あぁ、これガチもんの説教だ。

そりゃそうか。

内緒で大人の男からお金貰ってるし、終いにはホテルで無理やりされそうになるし。

それくらいの事を自分はしたんだと、今になって反省する。

あぁ…やっぱ停学処分とかあるのかな。

自宅謹慎、とか？

完全に項垂れていると、またあの香りが鼻に伝わって来た。

彼に抱き締められていると分かったのはちょっと時間が経ってから。

健「怖かったよな。ごめん、遅くなって」

私の目を見る彼は本当に優しい目をしていて。

いつもだったら離せとか抵抗の意を示すのに、今日に限っては誰かの温もりが欲しくて。

この恐怖の空間から逃れたい一心で。

私は嫌いな彼の背中に腕を回した。

健「お前はよく頑張ったよ。偉いな」

彼の一言は今の私にはもう優しさと安心の塊でしかなくて。

止むことを知らない涙が大粒となって幾つも頬に伝っていく。

彼は嗚咽が止まらない私の頭を撫でたり、背中を優しく叩いたりして慰めてくれた。

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健「なぁ、一個いい？」

「…？」

嗚咽も段々落ち着いてきた頃のこと。

彼はとんでもない事を口にした。

健「さっきの消毒したいんだけど、いい？」

「しょ、う…どく？」

彼の肩に顎を預けていた私は彼の方を見る。

すると、彼はさっきの優しい顔とは一変して大人らしい妖艶な顔立ちになっていた。

消毒って、手首のこと？

そういえばさっき馬鹿力に握られてたからな…

アザになってないといいんだけど。

いやでも別に血は出てないよ？

健「あ、手首じゃないから。それもするけど、」

手首に視線を向けていた私にそう言うと、彼は唇を私の頬に寄せてキスを落とす。

「えっ、」

驚いた私は少し離れようとしたが、彼の腕が後頭部と腰に回ったおかげでその動きも阻止される。

え、いや…なに？

何が起きてるの？

何て言って返せばいいんだ？

思考が上手く働かず、あたふたしている私に対して痺れを切らした彼は、

ごめん、やっぱする

と言って、そのまま私の唇に自身の唇を重ねた。