文字のない愛を。-2- (ページ23)

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あぁ、聡と帰るべきだった。

解し途中の問題があったとはいえ、ちょっとの気まずさの理由で残るとか言うんじゃなかった…。

聡が側にいてくれたら、ってこんな時に思っちゃう私は本当に狡い奴だよ。

グイグイと引っ張られる腕に抵抗をするが、主導権を握っている男はそれすら気にも止めず突き進んでいくばかり。

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ちょっとスピードが落ちたか、と思って辺りを見渡せば安っぽいホテル街で。

それが分かった瞬間、これから何が起こるのかも見当がついてしまう私は体中に冷や汗が浮かんできた。

助けて、と意思表示を周りの大人に向けてみるも

バニーガールにはニコッと微笑まれたり

ホストの兄さんには知らんぷりされたりの繰り返し。

そうだよ、

こんなとこに来るくらいなんだから、もう素直に受け止めるしかないんだよって。

私を守ってくれる人は誰もいないんだ。

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なんか見るからにラブなホテルっていうか如何わしい感じが漂う建物に吸い込まれれば、

男は大人二人の３時間で、と言ってルームキーを受け取る。

ここの常連なのか、受付のお兄さんは「いつもご利用ありがとうございます」と和やかにしていた。

◇「さぁて、部屋に入ったらシャワー浴びる？

それか一緒に入る？？」

「ふざけたこと言わないでください」

◇「んん～、怒った顔も可愛いねぇ

JKが相手なんていつ振りかなぁ」

エレベーターの中がこんなにも怖いと思った日はない。

一刻も早くこの人から抜け出したいのに、相変わらず腕を握る手が尋常じゃないくらい強い。

チーンッ

６階です、と無機質なアナウンスと共に開かれるエレベーターのドア

オリジナルの鼻唄を歌いながら部屋の前まで進んでいく男にただ連れて行かれる私は殆ど意気消沈の状態

私、ほんとに今から抱かれるのかな…

こんなしょーもないクソ男に初めてを捧げるのか

何気にキスとかそーゆーのは大切な人とするっていうロマンを持っていただけにショック

◇「６１、８…あった！」

部屋の番号を見つけた男は私を引き連れ一目散に部屋の前まで駆けていく。

あまりの急発進に足元を転びそうになる。

◇「ふふっ、お楽しみの時間だねっ」

部屋の鍵穴にキーが差し込まれる。

開いて欲しくないと思う私の思いは叶うわけもなく

キーは右に回って、いとも簡単に解除の通達を告げた。