文字のない愛を。-2- (ページ22)

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なんでコイツがこんなとこにいるわけ？！

もうまじで怖すぎるんだけど！！

◇「ね！Aちゃんだよね！顔も体つきもそっくりだしっ！！！」

「どちら様ですか」

◇「声もそっくり！！てか覚えてないのぉ？

◇◇だよんっ！Aちゃんてば、大学生じゃなかったっけ～？？？
でもJKもすき！制服ちょー似合ってるもん！！」

もう想像しなくても分かるくらい語尾にハートが付いてそうな口調で話してくる男は

まるで品定めをするかのように私を下から上まで舐め回すように見る。

その目つきは、お腹を空かせた猛獣みたいと言ったらいいのか。

とにかくこの先一緒にいない方がいいと察知した私は、人違いだと言って去ろうとする。

しかし、

そんな簡単にいくわけもなく。

男の右手が私の左腕を捕まえ、逃げる手段は呆気なく消え去った。

男の手汗なのかベタベタした感触が気持ち悪い

◇「ほら、勝手に行かないのっ！

連絡だっていっぱいしたのに何にも返してくれないから、他の男に何かされてないか心配だったんだよ？

でも今こうやってまた会えて嬉しいから許す！」

私は嬉しくないし

一刻も早くここから抜け出したいんですけど。

「ほんと、違うので」

◇「嘘はだめでしょ！知ってるんだよ、Aちゃんが他の男に会ってるのも。コスプレかと思ってたけど、JKも本当みたいだしさ」

「いや、でももう帰らなきゃっ」

◇「お金あげたのにその態度はなに？」

今まで猫撫で声ですりすりしていたはずの男が、まるで何かの犯罪者かのように態度を急変させた。

逃げないようにと掴まれている私の左腕には痛みが加わり、男の怒りが伝わって来ている。

何、この男…ヤバすぎなんだけど

捕まった場所が悪いのか、辺りは大通りからちょっと外れたところで。

通行人もいないことはないけど、みんな此方を見るだけで素通りしていく。

こんなの、警察が来たら職務質問級でしょ。

焦る私とは反対にどこか楽しそうにする男は怪しい微笑みを見せた。

◇「ねぇ、せっかく会えたんだしさ。

ちょっと付き合ってよ～」

「い、いやっ」

◇「そんなに暴れてると、君の学校に言っちゃうよ。

女子高生が男からお金貰ってるーって。

でも、そんなことしたらもう僕と会えなくなっちゃうからね？」

今日は夏らしい暑さなのに、

体はとてつもなく寒く感じた。