文字のない愛を。-2- (ページ1)

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というわけで、

聡とお試しという形で付き合うことになったのだけれど、

なんせ今はまだ研修旅行の班行動中で。

階段に座ってる私たちから遠く離れたところで写真を撮り合っている慎太郎くんたちは声が聞こえなくても分かるくらいはしゃぎまくってる

特に明るい岸くんが。あ、優太くんか。

これはモールとか行かなくても全然大丈夫なやつだ。

むしろ、そっちの方が嬉しいかも。

無駄に人が多いとことか好きじゃないし。

「湖だけであんなに騒げるもんなんだね」

聡「慎太郎と優太がいるくらいだし」

「あー、確かに」

不意に左手に重なった隣の彼の右手

びっくりして隣を見ると、彼は平然とした顔で前を向いていた。

聡「恋人だから、手繋ぐくらいは許してよ」

「うん…」

小さい時よく手を繋いでた感覚とはまるで違くて

成長して男らしくゴツゴツした彼の手は私の手を優しく包み込んでくれる。

あんなに平気に握り合ってたのに、大人に近づくとこんなにもぎこちなくなっちゃうのって不思議

手を握られるおかげで脈拍がどんどん上昇していっているように感じる。

脈の音、伝わってないかな…

・

聡って、いつから私のこと好きなんだろ

私からは全然そんな素振り見えなかったし、気付くこともなかった。

見せないようにしていたのもあるかもしれないけど。

高校入ってから？

それとも中学？

もしかして小学生からとか？？

だとしたらかなりの片想いを続けてきたことになるよな。

「あのさ、いつ、私を好きになったの？」

聡「教えない」

「なんで」

聡「Aがちゃんと俺のこと好きだって分かるまで教えてやんない」

いじわる。

別に減ることじゃないんだから素直に言ってくれたっていいのにな。

「じゃあ嬉しい？好きな女の子の手を握るの」

聡「聞かなくても分かることを聞かんでよろしい」

なんか、ごめん…

何とか話を繋げようと振ってみたけど、あっさり交わされてしまってしょげた気持ちになる。

ごめんの意味も込めて彼の手を握ってみると、
ぎゅっと優しく握り返してくれた。

横からだから表情は正確には分からないけど、ちょっと耳が赤くなっている。

照れてるんだ。

可愛いとこあんじゃん。なんつって。