52.美味しいもの ページ6
『もしかしたら、その“ゴールの匂い”が潔君の武器なのかもしれない』
うんと、1人で納得して頷く。
潔君のサッカーを初めて見た時から、何となく感じていた。
彼には、ゴールを狙える場所を的確に察知出来る能力があるのではないかと。
潔君自身は、その事に気付いていないみたいだけど。
「何か……御影さんにそう言って貰えると……少し、自信が付くな」
チラリと横を見ると、潔君が照れ臭そうに頬を掻いていた。
ほんのり赤くなっている頬を隠す様に下を向いて、視線を彷徨わせている。
いきなり褒めたから、照れてしまったのだろうか。
「ん!?バカうま!」
突如、ステーキを食べた國神君の声が響いた。
普段あまり表情を変えない國神君が笑顔を浮かべて、『喰え喰え潔、御影』と急かす様に言う。
その言葉に頷いた私と潔君は、同時にステーキを口にした。
「むふぅ♡でらうまぁ♪」
『美味しいっ』
思わず声を零してしまう程、美味し過ぎる。
すると、フッと笑った潔君が嬉しそうに私と國神君を見た。
「ありがと、國神、御影さん。何か元気出た」
そんな潔君の笑みに、國神君は照れた様に顔を逸らした。
どうやら、褒められるのは苦手のタイプみたいだ。
「そう言えば、御影さんの話はまだ聞いてなかったよね。何で、サッカーをやってるのかってやつ」
思い出した様に、潔君が私に視線を向ける。
國神君も興味があるのか、無言でこちらを見つめて来た。
『別に面白い事なんて無いよ、國神君みたいに覚悟がある訳でも無いし……』
「そんなの人それぞれだろ。俺も御影の事をもっと知りたいから、聞かせてくれ」
真剣な顔でそう言われると、断り難い。
少し言い淀んだが、2人の視線に根負けし、机の何も無い場所を見つめながらポツポツと語り始めた。
『9歳の頃、ノエル・ノアさんのプレーを見て憧れたからだよ。世界一のストライカーになりたいとか、何かになりたいとか夢見てた訳じゃ無いけど、ただサッカーが上手くなりたいって思いだけで、ずっと1人で練習してた』
「ノア様!?俺も、ずっとノア様に憧れてるんだ!」
目をキラキラと輝かせて、身を乗り出す潔君。
『落ち着け』と國神君に制されていたから、すぐに椅子に座り直していたけど。
『でも、今はただ……兄さんに相応しい選手になりたいって思ってる』
「兄さん?」
私にとって、唯一無二の存在である兄さんの姿を思い浮かべながら言った。
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Banri - こはねさん» コメントありがとうございます!1番好きだと言って頂けるのは、何よりの励みになります!これからも好きだと言って頂ける様に、更新頑張りますね!今後もよろしくお願いします! (2時間前) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (5月12日 15時) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時