51.ゴールボーナス ページ5
暫くの間、私と潔君は動けずに居たが、ピピッと言う聞き慣れた機械音に顔を上げた。
「潔、御影、一緒に喰うか?」
『ステーキ?』
「何これ!?え!?」
國神君が手にしていたのは、鉄板の上で焼かれているステーキだった。
ジューッと、良い音を立てて焼かれているステーキは、どこからどう見ても美味しそうだ。
「あそこに書かれてる、ゴールボーナスってやつ。得点決めた奴がポイントと景品を交換出来るシステムらしい」
そう言って國神君が指差した方向には、『GOALBONUS』と書かれている張り紙があった。
1ptsサーロインステーキ、マッサージ、3ptsケータイ返却、5pts高級安眠ベッド、10pts1日外出券などが書かれている。
「とりあえず、肉にした。あのゴールはさ……半分はお前達のお陰だから、この肉も半分こだ」
私と潔君の分まで切って、國神君はステーキを3等分にした。
得点を決めたのは國神君だと言うのに、本当に貰って良いのだろうか。
「ほら、御影も」
久しぶりの肉に歓喜している潔君にステーキを分けた國神君は、私にフォークを手渡して来た。
少し躊躇ったが、國神君の優しさを無碍にも出来ないので、ここは素直にお礼を告げて食べさせてもらおう。
『ありがとう』
「ウチのチームで1番活躍してたのは御影だからな、これぐらいのご褒美があっても良いだろ」
優しく口元を上げて言う國神君。
本当に此処に来てから、ずっと國神君に甘えさせてもらってばかりだ。
「つーか確認しときたいんだけど、何でお前あの時俺にパスした?」
私から潔君に視線を移した國神君が問う。
『あの時』と言うのは、勿論チームXとの試合の時の事だろう。
「多分、ポジショニング的に雷市の方がフリーだったし、わざわざ何でDFくっついてる俺にパスくれたんかなぁと思って」
「あー、あの時は反射でやったけど……多分、雷市にパスしたって目の前に馬狼が居るのは変わんないし……それより、お前のミドルシュートの方がゴールの匂いがしたんだと思う」
興奮した様子でステーキを見ながら、まるで他人事の様に言う潔君。
でもすぐに目を伏せて、『自分でゴールを狙わなきゃ駄目だったんだよ。その武器が俺には無かった』と自傷気味に言った。
『いや、ゴールの匂いって言うのは立派な武器だよ。あの一瞬でそんな判断が出来る人は、中々居ない』
私が首を振って否定すると、潔君は少し驚いた様に言葉を詰まらせた。
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Banri - こはねさん» コメントありがとうございます!1番好きだと言って頂けるのは、何よりの励みになります!これからも好きだと言って頂ける様に、更新頑張りますね!今後もよろしくお願いします! (4時間前) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (5月12日 15時) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時