85.見つけた ページ39
-Reo side-
「何処に居るんだよ、A……」
俺は、食堂でステーキを食ってる凪の隣で溜め息を吐く。
口から零れ落ちたのは、もう何度呼んだかも分からないAの名前。
名前を呼べば直ぐにでも駆け寄ってくれた、たった1人の愛しい存在。
愛してるなんて言葉じゃ足りない、俺にとっての唯一の生き甲斐がAだった。
息が出来ない程に、会いたくて、会いたくて、堪らない。
もし、この場にAが目の前に現れたら―――この手で抱き締めて、もう2度と離れて行かない様に鎖に繋いで、今まで我慢して溜め込んでいた欲を全て晒け出してしまいたい。
日が経つ事に、俺の理性が1つ1つ壊れて行く音が聞こえた。
「君達、チームVの人達だよね!?少し、俺の話を聞いてくれないか!」
慌てた様子で俺達に声を掛けて来たのは、髪が長い糸目の男だった。
何だ、コイツ。
話を聞くに、自分のチームであるチームZを態と敗北させて、自分を得点王にして欲しいと言う内容だった。
代わりに、俺達を勝たせると言う糸目。
コイツ、巫山戯んのか?
俺達の答えは、当然Noだった。
逆に此処で賛成する奴が居たら、正気を疑うだろ。
「玲王、何でこの人こんな必死なの?」
「勝つ為だろ」
凪の質問に、適当に答える。
『ふーん』と興味無さそうに呟いた凪は、何の表情も浮かべずに言った。
「頑張んなきゃ勝てないなんて、弱い奴って面倒臭いね」
すると今度は、目の前から人影が現れる。
「おい、待てよ」
また誰か来た事に内心苛立ちながらも、そいつに視線を移す。
そいつは何を考えてか、いきなり俺達に指を指した。
「サッカー、なめんな!」
また面倒臭ぇ奴が来たな。
「だから誰だよ、テメェ。いきなり突っかかって来て、何様だよ」
こんな奴らに絡まれるなんて、今日はついてねぇな。
適当に言い包めて、さっさと此処から出―――
『兄、さん……?』
俺の耳に聞こえたのは、掠れた女の声。
だけど、ただの女の声じゃない。
聞き間違える訳無い。
どれだけ、この声を聞きたいと願った事か。
でも信じられない気持ちが大きくて、素直に受け入れられない。
「……A?」
其処に立っていたのは、俺の姿を見て大きな瞳を開いているA。
その瞬間、身体に熱が走る。
―――嗚呼、やっと、漸く、見つけた。
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こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (6時間前) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - shionさん» コメントありがとうございます!今回の話は悩んで作ったので、喜んで頂けてとてもホッとしています笑。コメントはいつでも受け付けているので、これからも気軽にして頂けると嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時