74.終わった選手 ページ28
第伍号棟、第7試合―――フィールドに集まった私達の前には、チームWが佇んでいた。
その中でも目立つのは、瓜二つの顔を持つ鰐間兄弟。
キックオフは、そんな2人のパスから始まった。
「行っくぜ、お兄!いつパス欲しい?どんなパス欲しい?ねぇねぇねぇ!?」
双子の弟、『鰐間計助』さんがドリブルしながら、兄の『鰐間淳壱』さんに問い掛ける。
お兄さんは何も言う事無く、険しい顔で弟さんの方を向く。
それだけで意思が通じたのか、弟さんは『なるほど、御意!』と返した。
「このタイミングで、足元へのパスが欲しい!と、お兄は言ってる」
ドンとパスを出すと、お兄さんは僅かに表情を緩めて頷いた。
「からのワンツー!!」
弟さんがそう言った瞬間、五十嵐君の足をトンネルしてパスを出し合う鰐間兄弟。
ヘラヘラと面白そうに笑う弟さんと、満足そうに頷くお兄さんに、五十嵐君は『何じゃコイツら!?』と驚愕した。
こうして見ると、本当に凄いコンビニーションだ。
でも、私達がやる事は明確。
あの2人のコンビネーションを全員で止め―――
『な……』
チーム全員で止めに掛かっても、鰐間兄弟の勢いは止まらなかった。
映像であんなにも確認していたと言うのに、それを全て見透かしたかの様に躱されて行く。
「俺達の武器は
余裕の笑みを浮かべた弟さんが言う。
「クソ……来るぞ御影さん、千切!俺達で止める!」
『うん』
「………」
後方に居た私と千切君に向かって、潔君が声掛けする。
そんな潔君の声が聞こえていたのか、『千切?』と向かって来た弟さんが反応した。
「千切って、あのガラスの天才君かぁ?」
その言葉に、目を開く千切君。
もしかして、この2人は千切君の事を知っているのだろうか。
「おい、お兄!コイツ、まだサッカーやってるよぉ!?余っ程、自分の過去の栄光が忘れられないんだろうなぁ!?」
千切君の顔を見たお兄さんは、不気味な笑みを貼り付けた。
それを見た弟さんは、『うんうん、そうだね!』と相槌を打つ。
「同じ部活の元チームメイトとして言わして貰うとすれば―――もうお前は、終わった選手なんだよ」
心底、馬鹿にした様な言葉。
唇を噛み締めた千切君は直ぐ様走り出そうとしたが、右足への恐怖のせいか、立ち止まってしまった。
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こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (6時間前) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - shionさん» コメントありがとうございます!今回の話は悩んで作ったので、喜んで頂けてとてもホッとしています笑。コメントはいつでも受け付けているので、これからも気軽にして頂けると嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時