執着の氷華２【ブルーロック】

７３.３×３オールスター作戦 ページ27

「俺達の次の対戦相手、チームWのキーマンは、この２人……鰐間兄弟だ」


モニタニングルームに集まった私達は、次の試合に向けてミーティングしていた。
私達はモニターの前に椅子を集めて、伊右衛門さんの説明に耳を傾ける。


「この双子が得意とするのは、コンビネーションプレー。２人の距離感、動き出しのタイミング、パス＆ゴーは注意してても簡単には防げない強力な武器だ」


確かに試合映像を見ていても、２人のコンビネーションが如何に手強いか分かる。
あのキングさんのチームに勝った程なのだから、その実力は確かだろう。


『でもこの人達は、１人じゃ武器を使えない。２人を分断する事が、チームWに勝つ鍵ですね』

「その通りだ」


伊右衛門さんが、力強く頷く。











「つーか、何で伊右衛門が仕切ってんだよ。こーゆーの大体、久遠だろ？」


ジトリとした目で雷市君が言うと、困った様に眉を下げる伊右衛門さん。


「風呂からまだ上がって来ないんだもん、久遠……え、俺が仕切っちゃ駄目？」

「良いよー。割と作戦纏まってきたし」

「つーか、久遠風呂なげー」

『湯あたりになってないと良いけど……』


ここまで久遠さんが、お風呂から上がって来ないのは初めてだ。
いつも私が最後に上がる事が多いから、こんな時間になっても来ないのは心配になってしまう。











「ゴメン、お待たせ！」


噂をしていたら、ウィーンと扉を開けた久遠さんが入って来た。
熱があるのではないかと思える程、顔を真っ赤にして。


「明日の試合の作戦名考えてたら、遅くなった……！そっちは、どう？」


その姿を見た五十嵐君は爆笑していたが、『今、モニターで分析してたとこ』と潔君が説明する。
それに頷いた久遠さんは、紙コップに水を汲んで飲み干すと、こちらに向き直った。


「次の試合、俺達には練習して来た通り、前の試合の反省を活かした作戦で行く！今回は、相性の良い武器を持った３人が３トップを組み、３０分間ずつ３回のフォーメーションで回して行く。

その名も、『3×3(サザン)オールスター作戦』！！」


その独特な作戦名に、『ダサ！』と口々に文句を付けられる。
でも何だかんだ異議は無いのか、皆この作戦を受け入れた様だ。











「勝つぞ、チームZ！！」


久遠さんの言葉に、私達は頷き合った。
今の私達は雰囲気が良い、このまま行けばきっと勝てる。


ただ１つ気掛かりだったのは、いつも以上に表情が曇っている千切君だった。

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