62.こんなにも ページ16
後半15分、試合は一瞬の油断も許されない程の緊張感を漂わせていた。
チームYの動きを止められているのは、間違いなく潔君のお陰だろう。
要となっていた二子君へのボールを全てブロックしていたのだ。
『次、潔君のフォーメーションだよ』
「……いや、良いよ。このまま二子を止めてる方が、得点出来る確率が高いだろうから」
次俺9作戦の順番的に次は潔君だったのだが、どうやらこのまま二子君のディフェンスに徹する様だ。
私が代わりにやろうかと問う事も出来たのだが、潔君の纏う空気が黒い気がして声を掛けられなかった。
何だろう、点を決めた時から潔君の様子がおかしい気がする。
「君達も聞いたんですよね。絵心からの『武器を持て』って言葉」
私と潔君に声を掛けて来たのは、二子君だった。
彼の姿を見た潔君の目が鋭くなったけど、二子君は相変わらず表情を変えない。
『……うん、聞いたよ』
「その時、考えたんです。僕……『自分の武器って何だろう』って。足が速い訳でも無い、強靭な
僕を止めても、
トン、と自分の頭を指さしながら告げる二子君。
その口調から考えるに、チームYにはまだ手の内を明かしていない作戦があるのだろう。
警戒する様に眉を顰めていると、二子君がチラリとこちらに顔を向けた。
「御影Aさん、貴女に止められますか?」
まるで、挑発する様な口振り。
それとも、私を試しているのだろうか。
どちらにしても、私がする事は変わらない。
『勝つのは、私達だよ』
ここで負けたら、全てが終わる。
例えどんな窮地に立ったとしても、諦めるなんて選択肢は無い。
少しの間無言になった二子君は、やがて『困りましたね……』と呟いた。
「益々、興味を唆られる。こんなにも人に好奇心を抱いたのは初めてです」
自分でも信じられないと言う様な言い方だった。
でも、どこか熱を孕んでいた様に感じたのは気の所為だろうか。
「……俺より後から会った癖に、さっきから何なんだよ、お前。お前が御影さんの何を知ってんだよ」
潔君が怒りを押し殺した様に、低い声で咎める。
明らかに、様子が異質だ。
『潔君?』と呼び掛ける前に、彼は口を閉じたまま目を逸らした。
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Banri - こはねさん» コメントありがとうございます!1番好きだと言って頂けるのは、何よりの励みになります!これからも好きだと言って頂ける様に、更新頑張りますね!今後もよろしくお願いします! (5時間前) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (5月12日 15時) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時