執着の氷華２【ブルーロック】

５７.貴女の事を教えて ページ11

『興味？』

「青い監獄(ブルーロック)唯一の女性と言う事もありますが、貴女のプレースタイルを見た時から何故か頭から離れないんです。僕はこの試合に勝ちたいと同時に、知りたいんですよ。貴女の何に、そこまで惹かれているのかを」


少しだけ顔を近付けて、淡々と告げるニ子君。
彼の好奇心が私の何処に向けられたのかは分からないが、じっと見られるのは少しむず痒い。
隠されている目から逃れる様に、『私には特別なものなんて無いよ』と顔を背けて、可愛くない言葉を返してしまう。
だけどニ子君は、小さく首を振って否定した。











「僕が貴女に惹かれた事は事実です。そして貴女のプレーを間近で見て、その思いは確信に変わった。もっと貴女のプレーが見たい、もっと貴女の事を知りたい。だから……御影Aさん、もっと貴女の事を教えて下さい」


一瞬も目を逸らさずに、私へと視線を注がれている気がした。
そしてゆっくりと、ニ子君の手が私へと近付いて来る。
思わず動きを止めて、彼の姿に見入ってしまった。
あと数センチ、ほんの少し手を伸ばせば私の頬へ触れる。


でもそれを防ぐかの様に、突然グッと私の身体が後ろへ引っ張られた。











「惜しかったね、Aちゃん。あともう少しだったんだから、次は行けるよ！」

『ば、蜂楽君』


私の背中に抱き着く様に肩に手を回した蜂楽君が、慰める様に私の頭を撫でる。
何だかニ子君の世界観に持って行かれそうになったけど、今は試合中だった。


『うん、次は決めるよ』


蜂楽君は『その意気だよ』と笑うと、次にニ子君へと視線を向ける。
思わず、私は目を疑った。
その目には普段私達に向ける様な暖かさは無く、まるで虫でも見るかの様な、そんな冷たい目だったから。











『蜂楽君……？どうしたの……？』

「いや、何でも無いよ。ただ、気安くAちゃんに触れないで欲しいなって、そう思っただけ」


鋭い視線を向けながら、私を抱く腕に力を入れる蜂楽君。
そんな蜂楽君の冷たい視線にもニ子君は然程動じず、無言のまま見つめて来る。
２人の纏う雰囲気が気軽に声を掛けられない程陰っているのは、きっと気の所為じゃない。











『と、とりあえず、試合に戻ろう。１０分経ったから、次は蜂楽君の番だよ』

「あ、そうだね。戻ろっか、Aちゃん」


逃げる様に蜂楽君の胸を押すと、すんなりと受け入れて頷いてくれる。
でも代わりに私の手を握って、そのまま離してくれなかった。

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