07.世界一になる話 ページ9
流石にもう少し説明が欲しい。
そう思っていると、ポリポリと頭を掻いた絵心さんが特大な溜め息を吐いた。
「そっかぁ、重症だなぁ……お前ら。
お前らみたいなのが日本の未来背負ってると思うと絶望だわ」
『……え?』
絵心さんの変わり様に、思わず声が漏れてしまう。
何より、公の場でそんな事言っても大丈夫なのだろうかと心配になる様な発言に、呆然としてしまった。
だけど絵心さんの総攻撃は、まだまだ終わらない様だ。
「良いか?日本サッカーの組織力は世界一だ、他人を思いやる国民性の賜物と言える。でもそれ以外は、間違い無く二流だ……お前らに訊く、サッカーとは何だ?11人で力を合わせて戦うスポーツ?『絆を大事に』?『仲間の為に』?違うんだよ、だからこの国のサッカーはいつまで経っても弱小なんだ。
教えてやる、サッカーってのはな……相手より多く点を取るスポーツだ。点を取った奴が1番偉いんだよ、仲良し絆ごっこしたいなら
絵心さんが言っている事は、ある意味正しい事で、シンプルに分かりやすい話だ。
『点を取った人が1番輝く人間になれる』、それは間違い無く事実なのだから。
だけど『他人を大切に』、『サッカーは協力するスポーツ』だと言う思考を植え付けられている私達にとって、それは受け入れがたい考えなんだと思う。
だけど、私は間違っているとは思わなかった。
でも皆が皆、同じ考えを持つなんてあり得ない。
フルフルと肩を震わせた吉良君は、怒りを滲ませた声で告げる。
「不快です、撤回して下さい……本田選手や香川選手、他にもいっぱい居る。代表イレブンが11人で戦う姿を、僕らは今までの日本代表のチームプレーを見て育ったんです!彼らは僕のスターです!あんた、間違ってるよ」
「……ん?本田?香川?んーー?そいつらって、ワールドカップ優勝してなくない?世界一になる話してんだけど?俺」
ケラケラと面白可笑しそうに笑う絵心さんに、ギリッと唇を噛み締めて悔しそうに睨み付ける吉良君。
言っている事が事実だからこそ、何も言い返せないのだろう。
すると突然スクリーンに、私がサッカー界で1番尊敬している人物が映し出された。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時