執着の氷華【ブルーロック】

４７.己だけの武器 ページ49

「“０”から“１”か、なるほど……考えてる事は合ってるけど、肝心の“０”を“１”にする方法を分かってないみたいだなぁ」


少し感心した様に私達を見下ろしていた絵心さんだったが、すぐに呆れが込められた目で射抜いて来る。


「日本人ってのは、役割を与えられるのが好きな奴らだ。世の為、人の為、誰かの為に、それが美徳だと思ってる。

でも、サッカーは違う。その局面で功・守が一変する自由度の高いオープンフィールド、そして肉弾戦……このスポーツは、役割を全うするだけでは勝てない様に出来ている。故に必要なのは“独力”、お前１人の個の能力(チカラ)だ」


確かに、今日本人が世界と渡り合っている野球は功・守が完全に分かれたイニング制だ。
明確に役割を与えられているからこそ、このスポーツは日本人の特性に合っている。


だからこそ、強さが発揮されるのだろう。












「サッカーに置いて、今日本人が世界に誇れるポジションがどこか分かるか？ＭＦとＳＢだ。『チームの為に(フォア・ザ・チーム)』で身を粉にし、決まり事を全うする事でストライカーの“１”を“１００”にするこのポジションに、優秀な選手が多く生まれるのは当然だ！

故に、革命は起きない」


ストライカーを一際輝かせる為の、ただの添えもの。
今の日本人は、そんな存在にしかなれないと言うのか。
納得出来ないけど、現実ではそれが当たり前になっているのだから受け入れるしか無い。
絵心さんは、それを変えようとしているんだ。
そして『意識を置き換えろ』と告げた絵心さんは、ニヤリと不敵な笑みを溢した。











「サッカーに置いて得点を奪うと言うのは、相手の組織を“破壊する”と言う行為……つまりストライカーとは、“破壊者”だ！そしてゴールとは、敵のルールを破壊するピッチ上の“革命”だ！！

お前達は、ルールの中で生きてる事を受け入れてはいけない！“０”から“１”を生む為に……武器を持て、破壊者(ストライカー)よ！！敵の組織を翻弄し！ねじ伏せ！破壊する！！己だけの“武器”を！！

見極めろ！！思考しろ！！その肉体と脳で、お前に何が出来るのかを！！ゴールと言う“革命”を起こすのは、いつだって己の武器だ！！」


『ゴールはその先にしか存在しない』、最後にそう言い残した絵心さんはモニターから消えてしまった。













『私の、武器……』


それが、この一次選考を勝ち抜く為の突破口になるのかもしれない。

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