４０.イエローカード ページ42
ボールを奪った私は、そのまま敵陣へと向かい、ゴールポストへ一直線に走った。
途中、何人ものディフェンスに阻まれたが、それをドリブルして躱して行く。
久々にフィールドを走り抜ける感覚が、私の中に高揚感を与えた。
ボールを蹴りながら、ひたすらにゴールを狙い続ける。
ただそれだけなのに、ずっとこの瞬間を待っていたかの様に自然と走る脚に力が入ってしまう。
あともう少しで、ゴールポストに到達する。
最後のディフェンスを避けたら、そこでシュートを放つ。
そうすれば、点数が――――。
「させるかよっ！！」
『いっ……！』
いきなりドンッと、自分の背中に強烈な圧迫感を感じた。
背後から、チームＸの１人に思い切り体当たりをされた様だ。
その激しい当たりに思わずフラッと脚が蹌踉めいてしまい、正面から芝生に倒れ込んでしまう。
『ぅ……っ』
「Aちゃんっ！大丈夫！？」
勢い良く倒れた私の元に、慌てて蜂楽君が駆け寄って来る。
そのすぐ後に『御影さん！』と叫びながら、顔を青くした潔君も走って来た。
「おいっ！！テメェ、どう言うつもりだ！？」
私に体当たりした人の胸ぐらを掴みながら、牙を剥き出しにして怒号を上げる雷市君。
彼の隣に居た國神君も『巫山戯んじゃねぇぞ』と唸る様に言いながら、殺気を込めた目で詰め寄る。
２人の声に続いてＶＡＲで判定されたのか、その選手に向かってイエローカードが宣言された。
「あんなんで倒れるなんて思わなかったんだよ。良いよな、女は。こんな事でファウル取れるんだからよ」
イエローカードをアナウンスされたにも関わらず、その選手は全く悪気を感じている様子が無かった。
その言葉に、又しても顔を歪める雷市君と國神君。
確かに、私は女子だから男の人との肉弾戦では全く歯が立たない。
幾ら身体を鍛えたところで、男女の壁はどうやっても乗り越えられないのは事実だ。
『私は大丈夫。だから……』
まだ背に鈍い痛みはあったが、何とか顔を上げて皆に言葉を掛けようとする。
『私の事は気にしなくても良い』。
そう言うつもりだったが――――
「おい、お前……次その女に何かしたら、サッカー出来ねぇ身体にするぞ」
キングさんが私の言葉に覆い被さる様に声を重ねて来た。
私達は今彼が言った言葉が理解出来ず、目をパチパチと瞬かせる。
ただ、彼の目が背筋が凍りそうな程冷たかった為、本気なのだと言う事は分かった。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます！少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (1月26日 11時) (
レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます！ (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです！更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします！ (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです！続きを楽しみに待っています！応援しています！ (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Banri | 作成日時：2024年1月16日 18時
