39.こんな時でも ページ41
-Isagi side-
チームXは馬狼を中心に、他の奴はサポートに回る様になった。
とにかく馬狼にパスを出せば、確実に点数が入ると思い始めたみたいだ。
「馬狼だ……馬狼をマークしろ!」
馬狼をフリーにしているとマズいと危機察知したのか、イガグリは後ろに居た俺達に向かって指示を出す。
「だから、お前が言うなイガグリ!」
「クソ……止めるぞ!」
悪態をつきながらイガグリを睨み付ける雷市、額に滲む汗を拭いながら走り出す國神。
2人に続いて俺達も馬狼の元へと向かい、何とか動きを止めようと5人掛かりでディフェンスに徹する。
「おいおい、良いのか?俺1人に下手糞共がそんなに集まっても?」
一気に集まって来た俺達をチラリと横目で見ながら、静かに問う馬狼。
その言葉の意味が一瞬分からず動きを止めると、馬狼は踵でボールをトン、と後ろに蹴った。
「あ」
思わず声が零れ落ちてしまう。
馬狼を自由にさせると突破されるけど、馬狼にマークが集中し過ぎると他の
今此処でパスを出されたら、確実に点を入れられる。
俺達は、馬狼のディフェンスに人数を掛け過ぎた。
マズい……。
そう思っていても、身体は思うように動かない。
『やっぱり……そう来ると思った』
こんな男だらけの場所には似つかわしく無い、音を奏でるかの様に澄んだ声。
その声の持ち主、御影Aさんは馬狼がパスを出そうとしていた仲間の元へ届く前に、ボールをパスカットした。
まるで馬狼がパスを出すと最初から分かっていた様に、靭やかな動きで音を出す事も無く、ただ静かに。
「……!お前……っ」
馬狼もまさか読まれていたとは思わなかったのか、ハッとした様に御影さんの姿を視界に入れた。
御影さんが馬狼の動きを読んだのは、これが初めてでは無い。
馬狼が
あの時も一瞬だが、馬狼は目を見開いていた。
「御影さん!」
御影さんはそのまま華麗なドリブルをして、敵陣へと単独乗り込んで行く。
オニごっこの時も見たけど、やっぱり御影さんのドリブルは何度見ても教科書の様に完璧だった。
――――こんな時だって言うのに、彼女の動き全てに思考を忘れて見惚れてしまうぐらいに。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時