03.強化指定選手 ページ5
あの試合から3日後、私は今『日本フットボール連合』と呼ばれる建物の前に来ていた。
何故この場所に来ているかと問われれば、それは簡単な話だ。
あの試合が終わった後、家に帰ると私宛にポストに1枚の手紙が入っていた。
――――それは、『強化指定選手』に選ばれたと言う内容だった。
実は言うと、私はサッカーをやっていたのだ。
一難高校へ転校して来る前の学校で、兄さんとサッカー部を立ち上げ、プレイしていた。
いや、言ってしまえば、私がサッカーを始めたのは9歳の時だった。
偶々テレビで見た『ノエル・ノア』さんのサッカーに憧れを持ち、両親にボールだけ買って貰って、1人でずっと練習をしていたのだ。
だけど兄さんはその事を知らなかった、両親にも最低限の道具を買って貰っただけで、詳しい事は何も説明していない。
兄さんは絶対に無いだろうけど、私がサッカーをやるなんて言ったら、両親は反対すると分かっていたから。
だからボールを買って貰った時は、ただ遊び道具として欲しいのだと言って、上手く誤魔化していた。
私はサッカーが大好きだった、こんなに夢中になれたスポーツは他に無い。
同じクラスとは言え、あまり話した事の無い潔君の試合を見に行ったのだって、彼が一体どんなサッカーをするのか見てみたいと思ったからだ。
だからこの手紙を貰った時、自分の中で何かが弾けた様に『行きたい』と思う様になった。
今の学校では、もうサッカーをしていない。
それなのに、私のプレーを誰かが見ていてくれたのだと思うと、嬉しくて仕方なかったから。
それに何より、兄さんに恥じない選手になりたいとずっと思っていたのだ。
私は手紙と一緒に入っていた『当日集まる会場』の地図を頼りに、この場所まで来ていた。
詳しい事は何も記されていなかったけど、私は何故かこの場所で自分の運命を変えられる様な気がして、ウズウズと体が落ち着かなかった。
鞄を背負い直しながら中に入ろうとしたが、入り口付近で2人の男の人が立っていた。
『……潔君?』
「え、御影さん……!?」
見覚えのある人物だと思っていると、まさかの潔君だった。
彼も私の姿を目視すると、驚きを露わにして目を見開いている。
潔君も呼ばれていたんだ、強化指定選手として……。
「女の子も選ばれるんだね、ここ。潔君、知り合い?」
これは……驚いた。
潔君と話していたのは、まさかの吉良涼介君だった。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時