３６.奪い合い ページ38
「國神……お前とは気が合いそうだ」
ボールを取られた雷市君は、ピキッと青筋を浮かべて今にも手を出しそうになっている。
そんな２人に釣られた様に、成早君や五十嵐君までボールの元へ集まり出した。
何とか久遠さんが止めようと声を掛けているが、誰も聞こうとはしない。
「どけオラ！！」
「お前がどけ！」
「クソ……お前……良い
それでも尚、ボールの奪い合いを続ける國神君と雷市君。
最早、味方同士の会話とは思えない。
そんな２人の間に転がっていたボールをチームＸの１人が隙を見て横取りした。
「お邪魔しまーす♪ラッキーいただき！」
「あ゛ぁ！」
「あ゛」
完全に気が逸れていた２人は全く反応する事が出来ず、突然の出来事に目を見開く。
だけど、その奪った人もすぐに自チームの１人に奪い取られ、ボールの取り合いはチームＸをも巻き込み始めた。
“お団子サッカー”
今のこの状況を説明するのに、これ以上の言葉は無い。
やはり『得点王』と言う存在が、皆のエゴを剥き出しているんだ。
絵心さんは、一体何が目的なのだろう。
今の皆は、自分の事しか考えられなくなっている。
そんな状態になれば、お団子サッカーになってしまう事は目に見えている筈なのに。
次の瞬間、１人の人物がお団子になっていた人達を勢い良く割った。
『え、割った……！？』
集まっていた國神君や雷市君を腕で押し退け、一瞬でボールを奪って行く人物。
それは試合前に目が合った、髪の長い男の人だった。
咄嗟の出来事に反応出来ずに居ると、その男の人は私と潔君の元まで素早く迫って来る。
「俺の前に立つな、ブチ殺すぞ」
ゾッとする様な鋭い眼光に一瞬狼狽えたが、すぐに止めようと２人掛かりでディフェスをする。
右か左か、華麗なドリブルを懸命に目で追う。
そして男の人がボールを両足で挟んだ瞬間、私は少し後ろに下がった。
「……………！」
その行動に男の人の目が、僅かに見開いた様な気がする。
だけど、そのボールは私が思っていたよりも上を飛び越え、私達が居た場所よりも更に後ろへと落ちた。
その瞬間、男の人は素早く落ちたボールの元へと駆け寄り、そのまま私と潔君を抜いて行く。
やっぱり、
あんなに柔らかい動き、初めて見た。
何か仕掛けて来ると思って後ろに下がったが、彼のテクニックによって躱されてしまった。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます！少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (1月26日 11時) (
レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます！ (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです！更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします！ (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです！続きを楽しみに待っています！応援しています！ (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Banri | 作成日時：2024年1月16日 18時
