34.チームX ページ36
今のチーム状況は、あまり纏まりを感じられない。
周りの人達の反応も、十人十色だった。
「りょーかーい♪」
「巫山戯んなし!ランキングしょぼい潔が中心で勝てんのかよ!?」
「文句言うな、イガグリ。全員FW希望で埒が明かねぇから、じゃんけんにしたんだろうが」
「あー、DFなんかやりたくないなー」
「勝ちゃあ良いんだろ?勝ちゃあ!」
「『勝ちゃあ良い』、ねぇ……」
文句を言う人が大半だったけど、何だかんだ納得している人も居る。
私は、潔君がFWでも全然文句は無かった。
彼のサッカーをこの目で見ていたから、信頼しているのだ。
だけど潔君は見るからに緊張している様子で深呼吸をしており、気休め程度かもしれないけど言葉を掛けておこうと近付く。
『潔君、大丈夫だよ。始まる前から考えていても仕方ない、それに何かあったら私が力になる』
「……!!ありがとう、御影さん」
自分でFWを選んだとは言え、チームの要なのだから当然責任を感じるだろう。
だから出来る限り落ち着いた声で話すと、少しだけ安心したのか、微かに口元を上げてくれた。
そんな潔君に頷くと、私達はロッカールームを出て伍号棟のセンターフィールドに向かった。
だけどその場にはまだチームXの姿は無く、どうやら私達の方が先にやって来た様だ。
彼らが来るまでの間、何人かが準備運動を始めていると、次第に扉の向こうからやって来た11人の存在に國神君がいち早く気付いた。
「来たぞ、チームX」
私達はその声に反応し、やって来たチームXのメンバーを見た。
彼らの姿が見え始めた時、一気に私達の間に緊張感が走る。
するとチームXのメンバーの1人が、私の姿を見てからかう様な口調で指差して来た。
「おい、女が居るぞ!しかも結構美人!!」
「女がチームとか、全く戦力にならねぇじゃん。終わったな、お前ら」
「あ゛?」
馬鹿にした様に私を見る人達に、隣に居た國神君がギロリと鋭い視線で睨み付けた。
こうなる事は分かっていた、何を言われても仕方ない。
サッカーを始めた時から覚悟の上なのだ、今更怖気付いたりはしない。
『皆、私は足を引っ張ったりしないから安心して。寧ろ、今回の試合は私がMVPを取る……つもりで頑張るから』
クルリと振り返って、チームの皆にそう伝えると少しだけ驚いた様な顔をされる。
頼りない人だとは思われたくなかったから、一応去勢は張っておかないと。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時