執着の氷華【ブルーロック】

３３.ポジション ページ35

「「「じゃんけん……ポン！」」」


そんな掛け声を元に、潔君、蜂楽君、雷市君、我牙丸さんが互いに向き合ってじゃんけんをしていた。
それは各々のポジションを決めるじゃんけんであり、今回はグーを出した潔君が勝利した。
勝った人から順番にポジションを選択すると言うルールを設け、当然潔君は『ＦＷが良い』と宣言する。
負けた人達は悔しそうに嘆いていたが、自分達で決めた事なのだから、文句は言えないだろう。











事の発端は２時間前、絵心さんから一次選考の説明を受けた事から始まった。


「ブルーロック一次選考は同棟内５チームによる、総当たりグループリーグマッチだ。全１０試合終了時の勝ち点上位２チームが勝ち残り、下位３チームは敗退。そのメンバーはブルーロックから強制退場となり……この先、日本代表としてプレーする権利を失う。

ただし！敗れた３チームにも復活ルールとして、全試合終了時点でのチーム内得点王……そのチームで最もゴールを挙げた唯１人だけ、勝ち上がれるシステムとする。チーム内で最多得点数が並んだ場合はフェアプレーポイントを採用し、ペナルティーポイントの少ない者が勝ち上がりとなる。

己のゴールか、チームの勝利か、そんなストライカーの宿命がこの一次選考では試される！これはサッカーを０から創る為の戦いだ、第１試合は２時間後、チームＸ対チームＺ！」


得点王か、それは少し厄介な存在になるかもしれない。
自分が１番得点を稼げば、チームなんてどうでも良いと考える人が現れるかもしれないからだ。
絵心さんが言っていた『チームの勝利』では無く、『己のゴール』を優先する人が出て来たら、サッカーとして機能しなくなってしまう。











少し不安を募らせて、ロッカールームの椅子に座っていると、ホワイトボードに今回の布陣を分かりやすく書いてくれた久遠さんがそれを私達に見せて来た。


「よーし、皆！じゃんけんの結果、第１試合はこの布陣で行く！チームＸは俺らよりランキング上位の２４３〜２５３位のチームだけど……細かい作戦を練ってる時間は無いから、じゃんけんに勝ってＦＷを選んだ潔君を中心に勝ちに行こう！」


私のポジションは、ＭＦのSH(サイドハーフ)に決定した。
一応ＦＷになれたら良いなとは考えていたが、じゃんけんに負けてしまったので此処で頑張ろうと思う。


とは言え、ＦＷしか居ないこの布陣で何とかなるのだろうかと言う心配はやはり拭い切れなかった。

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