24.優しい人 ページ26
それから次第にランニングマシーンが止まり始め、漸く終わりがやって来たのだと分かった。
完全にマシーンが止まると潔君は倒れ込む様に地面に寝転び、五十嵐君は久遠さんに介護されている。
私は膝を突いて止まる事の無い汗を拭いながら、息を整えようと深呼吸を繰り返す。
すると誰かから、スッと水が入ったペットボトルを渡された。
「お疲れ、御影。大丈夫か?」
『あ、國神君……大丈夫、とは言い切れないけど……ありがとう……』
渡して来たのは、少し心配そうに見つめて来る國神君だった。
息切れが激しかった為、あまり上手く言葉は紡げなかったが、ちゃんと感謝の言葉は伝えないと。
有り難くそのペットボトルを貰うと、ゴクゴクと勢い良く水を飲み始めた。
水ってこんなに美味しかったんだなと、つくづく思い知らされる。
「あまり無理するなよ。これ、男がやってても苦しいメニューだからな」
『うん……正直、付いて行くだけでも大変だけど……やれるところまでやってみる』
徐々に落ち着きを取り戻し始めた私に、國神君は気遣う様に言葉を掛けてくれる。
その優しさに少し頼りそうになってしまったけど、此処で弱音を言っていたらブルーロックでは到底勝ち残れない。
自分だけ女子だからと言って、甘えていたら駄目だ。
真っ直ぐに見つめながらそう言うと、國神君は少し驚いた様に目を見開いたが、直ぐにフッと口元を上げた。
すると、部屋に備わっているスピーカーから学校の様なチャイムが鳴り響く。
《キーンコーンカーンコーン》
このチャイムは、ご飯の時間を知らせてくれる音だ。
ずっと体力テストに気を取られてすっかり忘れていたけど、もうそんなに時間が経っていたとは思わなかった。
『ご飯の時間だ』
「もうそんな時間か……御影、行こうぜ」
國神君の言葉に頷き、私達は食堂へと向かった。
気付かぬ内に國神君とは行動を共にする様になっており、食事の時は一緒に食べたり、寝る時も隣同士になっている。
でもそれは全て、私を心配してくれての行動だった。
男の人しか居ない場所で私が1人で行動をしていたら何が起こるか分からないと言う、國神君の優しさからなのだ。
本当に、國神君には感謝してもし切れない。
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人数合わせの為、今村君は出てきません。
ごめんなさい、今村君……。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時