２１.エゴイズム ページ23
「だ、だからどーした！？部屋の広さはわーったよ！だからオニごっこはサッカーじゃねぇっつってんの！！」
「逃げる側に要求されるのは、対人感覚、駆け引き、ポジショニング……追うオニに要求されるのは、ドリブル制度や、動きの中で狙い撃てるキックのクオリティ。これは立派なサッカーのトレーニングだ、タコ」
「だ、だからって……こんなたかだか２分ちょっとで、俺の何が分かるんだよ！？サッカーは９０分だろがよ！！」
「１試合の中で１人のプレイヤーがボールを保持出来る平均時間は、約１３６秒……お前は平等に与えられた１試合分のチャンスをフイにしたんだ」
絵心さんの説明は全て、合理的で正しい事だ。
私達でも、考えれば必ず答えに辿り着く様になっていた。
だけど『負ければ日本代表には入れない』と言う重荷が相まって、考える力が損なわれていたのだ。
「で、でも……ラスト１０秒じゃどうしようも……！！」
「お前は、試合でも同じ事言うのか？」
「え……」
「思い出せ、お前がゴールを当てられた最後の瞬間……時計はまだ１秒残ってた。動けないイガグリに当てれば生き残れたんだ、だからお前は見逃した。言わば試合終了間際ラストワンプレー、犇めき合う
その瞬間に、お前は諦めて敗北を覚悟した……だから気が付けなかったんだ。偶然にも目の前に溢れるボールに、ほんの少し脚を伸ばせば届いた筈の勝利に」
その言葉に、最早口を開く事しか出来ない吉良君。
あの最後の１秒、吉良君は当てられた事への衝撃で全く身動きが取れていなかった。
彼のすぐ傍らには、脚を捻って動く事が出来なかった五十嵐君が居たけど、あの時の吉良君には、全くそれが見えていないみたいだった。
「このオニごっこに置けるオニは、ボールを持ち続ける事で『敗者』にもなり得るが、誰かに当てる事で自らが『勝者』にもなる事が出来る有権者だ。ストライカーとはその責任を負い、最後の１秒まで戦う人間の事ですよ。
倒れたイガグリじゃなく、自分よりランキングが上の奴を倒そうとした潔世一、１番強い者を倒そうとした蜂楽廻、そして御影A。それこそが集団の常識に左右されない、己の為だけの勝利への執念であり、俺が求める……ストライカーのエゴイズムだ」
絵心さんは、静かに私達へと視線を配りながら言った。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます！少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (1月26日 11時) (
レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます！ (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです！更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします！ (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです！続きを楽しみに待っています！応援しています！ (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Banri | 作成日時：2024年1月16日 18時
