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18.変わらない ページ20

-Isagi side-










「行け!潔君!!当てろ、今の内に!!」


吉良君の声に反応する様に、俺はゆっくりと五十嵐の元へ向かう。
こうしている間も、時間は刻一刻と迫っている。
ここで当てれば、俺は生き残れるんだ。











「お、おい、ちょ待て……来んな……来んなってぇ!!さっき狙ったの謝るからぁ!!終わりたくねぇよ、俺!!こんなとこでぇ!!」


俺が近付くに連れ、悲鳴に近い声を上げる五十嵐。
今ここで当てれば、俺は生き残る。
だけど、それはつまりこいつの夢を潰すと言う事だ。
勝つと言う事は負ける奴が必然と生まれ、誰かが夢を叶えている裏側で夢が叶わなかった奴が存在する。


シュートのフォームを作ると、五十嵐は固く目を瞑った。
ボールを蹴る、蹴ってやる。
そう思っていたのに、凛とした声が俺の動きを止めた。
















『……違うよ』
















ポツリと呟かれた言葉。
俺が、この声の主を聞き間違える筈が無い。
声がした方をチラリと見ると、そこには何の表情も浮かべずに俺に近付いて来る御影さんが居た。


『自分より強い人に勝たなきゃ、何も変わらないよ』


全て見透かした様な言葉。
逃げてばかりで、後悔していた俺を咎める様な言葉。
『戦え』、そう言われた様な気がした。
今の御影さんは、ずっと見て来た俺でも知らない顔をしている。
惹き付けられて、目が離せない。
そんな彼女の姿に、どうしようも無くゾクゾクしている自分が居た。











そうだ、俺は――――。











次の瞬間、御影さんは俺からボールを奪うと、そのままある人物の元へと駆け出した。


「な、Aちゃん!?」


その人物は吉良君だった。
御影さんは俺とは比べ物にならない様な完璧なドリブルをして、素早く吉良君の元へと詰め寄って行く。
吉良君は狙われている事に驚愕していたが、何とか追い付かれまいと逃げ出した。


『ごめんね、吉良君』


そう呟いた御影さんは、吉良君目掛けてシュートを放った。
威力が強い訳では無いが、コントロールが凄まじく、的確に吉良君の身体へと狙いを定めている。


「……っ!!」


だが、間一髪それを避けた吉良君。
髪の何本か当たった様な気はしたが、あのシュートを躱すなんて尋常じゃない。
壁に当たって跳ね返って来たボールを見た御影さんは、チラリと1人の男を一瞥した。











『前髪君っ』


――――何を考えてか、御影さんはあのぱっつん前髪にパスを出したのだ。

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設定タグ:ブルーロック , 御影玲王 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時

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