17.勝ちたい ページ19
-Isagi side-
やばい……当てなきゃ終わる!!
俺のサッカー人生が……あと、1分で……。
嫌だ……嫌だ……嫌だ……!!
とにかく、誰かに当てなきゃいけない。
そんな思いで、壁に集まっている何人かにボールを蹴った。
だけどそれも全部躱されて、逆にこっちの体力が奪われて行く。
全国から集まったメンツだから、やっぱり一筋縄には行かない。
ドリブルで追い付くとか無理だろ!?
吉良君なんか、全然息上がって無いし……!!
それに、御影さんとやっと関われるチャンスが来たんだ。
こんな所で呆気なく脱落して、カッコ悪いとこなんか死んでも見せたくない。
御影さんとサッカーがしたい、一緒に居たい。
何が何でも生き残ってやる。
狙うなら、やっぱり俺よりランキング低い奴……
俺が狙いを定めると、それを察したのか、五十嵐は本気で逃げ始めた。
「うぉらぁ!!あと1分なら、全力じゃあ!!逃げ切ったるぜぇぇ!!」
「!?」
クソ!!
あと50秒しか無い。
マジで、
何を試されてる!?
こんなんに、エゴとか関係あんのかよ!?
やばい、足が縺れて来た。
絶望が俺の視界を覆う。
タイムアップまで、着々と時間が迫って来ている。
嫌だ、負けたくない、終わりたくない。
そんな思いに駆られて足を動かし続けても、事態は変わらないままだ。
何でも良い、勝ちたい。
その時だった。
「にゃはは♪チャンスだよーん♡」
「てめ……コラ!降りろ……おい!!」
國神の背後にぱっつん前髪が抱き着いて、狙いやすくしていた。
周りの奴らも『あっち狙え!』と言って、俺を遠ざけようとする。
だけど國神は、すぐに回されている腕を掴んで放り投げた。
「だから正々堂々……やれっつってんだろうがぁ!!」
その投げられた方向には五十嵐が立っており、飛んで来たぱっつん前髪の下敷きになってしまった。
こいつのお陰で対してダメージを食らわなかったぱっつんは、『痛てて』と楽しそうに呟いていたが、五十嵐は退かそうと必死に藻掻く。
だけど左足に違和感を感じたのか、顔色を悪くした。
「あ……ヤベ、ちょ……タイム……」
どうやら先程の衝撃で、足を捻ってしまった様だ。
これは致命的だ、足を怪我をすれば逃げる事も出来ない。
五十嵐の姿を横目に見た俺は、震えているあいつの姿が蛇に睨まれた蛙の様に見えた。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時