16.なすりつけ合い ページ18
「あー、クソ!当たらねぇ、ヤベェ!!待て、ボール!」
五十嵐君のボールは何度蹴っても、当たらなかった。
やっぱり考え無しにやっていたら駄目だ、常に考え続けないといけない。
その時、ずっと床で丸まって寝ている少年に気が付いた五十嵐君はニヤリと笑った。
「はは……コイツ!!まだ寝てんのかよ、もらった……!!」
しかしその瞬間、彼の顔面に強烈な蹴りを入れられる。
その正体は、先程まで寝ていたぱっつん前髪の少年だった。
彼は起き上がる瞬間、バク転の様な動きで五十嵐君を蹴り上げたのだ。
「痛って……おい!?ファウルだろ、ファウル!!こんなん試合だったら一発レッド……!!」
「むにゃ……禁止なのはハンドだけでしょ?おはよ」
モロに当たってしまったのか、顔を押さえながら声を上げる五十嵐君に、ぱっつんの少年は眠そうに目を擦った。
こんな状況で眠っていただけでも凄いが、どうやら漸く目が覚めた様だ。
そんな少年に近付いた國神君は、彼の肩を掴んでジッと見下ろした。
「おい、汚いやり方は嫌いだ。正々堂々と戦え」
「……マジメ君ですかぁ?」
つまらなさそうに國神君を見つめるぱっつんの少年。
少し険悪な雰囲気が2人の間に漂い始めた時、國神君の顔面にボールがめり込んだ。
「っしゃあ!!隙あり、南無三!!」
『國神君!』
少年と話している隙を見逃さなかった五十嵐君が、國神君にボールを当ててしまったのだ。
するとモニターには、『ONI國神錬介』と表示される。
まさかこんな一瞬に蹴ると思っていなかったから、思わず名前を呼んでしまった。
國神君はピキッと額に青筋を浮かべて、五十嵐君を睨み付ける。
「にゃろう……イガグリ潰す……!!」
グッと唇を噛み締めた國神君は、苛立ちをぶつける様にシュートを放った。
そのボールは勢い良く五十嵐君に向かって行ったが、彼は有ろう事か潔君を盾にしており、嫌がる彼のお腹にボールが直撃してしまった。
國神君もまさか潔君に当たるとは思わず、『ワリ……お前じゃねぇ……』と弱々しく呟く。
「ゴフッ」
國神君の強烈なシュートの強さに、立ち上がる事が出来ない潔君。
苦しそうにお腹を押さえて、顔を歪めている。
上手く呼吸する事もままならない今の彼では、満足に走る事すら難しいだろう。
まだ荒い呼吸を繰り返しながらも、潔君はボールを蹴って何とか駆け出した。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時