15.ただのオニごっこ ページ17
最初のオニに指定されてしまった五十嵐君はボールに近付くと、覚悟を決めた様に私達を見渡す。
「300位……最底辺の俺が最初のオニかよ……やってやんよ、皆……誰が脱落しようが、恨みっこ無しだぜ。俺はやるぜ……負けたら一生寺の坊主……負けたら一生寺の坊主……」
こんな隙も与えない短時間で、全てを理解する事は難しい。
私も含めて、まだ困惑している人達ばかりだ。
それに第一、このオニごっこには一体どんな意味があるのかも分からない。
だけど、もう始まってしまったものは仕方ない。
とにかく、やるしか無いんだ。
「うぉらぁぁ!!」
「ちょ……こっち来んな!」
「おい、こっち角だ!散らばれ!」
ボールを蹴り始めた五十嵐君は、角に集まっている人達に向かって走り出した。
と言うよりも、潔君に向かっている。
「悪いな、潔君!299位のあんた狙いだ!」
「え!?」
自分よりもランクが1つ上の潔君なら、簡単に当てられると思ったのか五十嵐君は彼に向けてボールを放つ。
だけど潔君はそのボールを上手く躱し、壁に跳ねられて返って来た。
そのボールを再び蹴り出した五十嵐君は、悔しそうに眉を顰めた。
「くそっ!なら……Aちゃん、君だ!!」
『私……!?』
女子だから狙われたのだろうか。
五十嵐君は私に突っ込んで来て、勢い良くボールを蹴り上げた。
真正面から飛んで来たボール。
それを右に避けて、何とか当たらずに済んだ。
『危ない……』
「これ意外に難ぃぞ!!誰でも良いや、もう……!!」
最早ヤケになっている様にも思えるが、ここに居るのは全国から集められた優秀な選手達だ。
無闇にボールを蹴り続けても、中々当てられないだろう。
五十嵐君から距離を取っていた私と潔君に、吉良君が顔を歪めて言った。
「馬鹿げてるよ、こんなの……こんな遊びがトップトレーニングとは思えない……俺は
絶対間違ってる!!あんな奴に、俺の未来潰されてたまるかよ……!!」
ただの遊び、ただのオニごっこ……本当にそうなのだろうか。
絵心さんは本当に何の理由も無く、こんな事をさせていると言うのか。
何か理由がある様な気がしてならない。
このオニごっこの本質を見抜く事が、鍵になるのではないだろうか。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時