11.俺だけのもの ページ13
-Reo side-
―――そんな日々を送っていた俺の元に、ある一通の手紙が届く。
日本フットボール連合から、『強化指定選手に選ばれた』と言う内容の手紙が届いた。
正直、最初は興味無かった。
俺はAの事ばかりで、サッカーだってまともに出来ていない時だったから。
それに参加したところで、Aに会える訳じゃない。
どうかしてたんだ。
あの時の俺は、サッカーなんて気にしていられる余裕さえ無かった。
だから凪とした約束も忘れて、サッカーよりも優勝よりも、Aの事を優先していた。
だけど、
「玲王、行こうよ」
同じく手紙を貰っていた凪が、俺にそう言った。
信じられなかった。
まさか凪の方から俺を誘って来るなんて、あり得ないと思っていたから。
でも凪の目は真剣で、こいつこんな顔も出来るのかって驚いた。
「どうしたんだ、凪。お前、何でそんなやる気に……」
「これに行けば、Aに会えるかもしれないでしょ?」
その言葉に、目を見開いた。
凪とAは俺と同じく、サッカー部でプレーしていた仲間だ。
最初は2人もそんなに仲が良いって訳じゃ無かったけど、俺が知らない間に段々と距離が近くなって行った。
Aも、俺には見せない一面を凪に見せていた事がある。
それに堪らなく嫉妬した事だってあったし、Aが俺以外の誰かを見ている事にも耐えられなかった。
ずっとAの世界は、俺だけだったのに。
でも2人の仲を無理やり引き裂くなんて事も出来なくて、感情を抑え込む事しか逃げ道は無かった。
凪も、Aの事が大切なんだ。
Aが転校したと分かった時、今までに見た事が無いぐらい表情が無くなっていた。
俺は自分の感情に振り回されてばかりだったから気付かなかったが、きっと凪もあの時から壊れている。
「Aは?」
「まだ見つからないの?」
この言葉を何度聞かされた事か。
今となっては、もう覚えてすらいない。
「Aがまだサッカーを続けてるなら、これに呼ばれる可能性だってある。そこで会えるかもしれないよ」
「Aに、会える……」
Aに会える。
その言葉だけで、体が勝手に突き動かされた。
Aを俺の元へ連れ戻せるなら、他には何も要らない。
どんな手段を使ってでも、必ず連れ戻してやる。
――――Aは他の誰でも無い、俺だけのものなんだからな。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時