50、乾いた服 ページ50
その時だった。
「貴人!?誰か来てるの!?
乾燥機に入ってる服、誰のなの!?｣
突如聞こえてきた声に、びくっとふたりの身体が揺れた。
「やっべ…っ!!｣
部屋を飛び出した川島が階段を駆け下りて行き…。
ドックン
ドックン
ドックン
胸の鼓動が、頭の中に響いている。
びっくりした……っ！
キス…されるのかと思った…っ。
そして今は川島のお母さんにもビビってるけど…！
静かな部屋に、１階で言い争ってるような声が聞こえてくる。
数分後、すっかり乾いた私の服を持って川島が戻って来た。
「乾いたから…」
「あ、うん、ありがとう。着替えるね」
そうして、パーカーを貸してくれた時のように
川島が部屋の外で待ってくれてる間に急いで自分の服に着替えた。
「これ…。タオルとパーカー、ありがとう」
綺麗に畳んだそれらを見て
「…うん」
川島が恥ずかしそうに下を向いた。
ふたりの間を流れる沈黙。
そして、１階から聞こえてくるドアを閉める大きな音。
顔が、火照る。
微妙なふたりの雰囲気にも。
怒ってるような川島のお母さんにも。
「……あ、じゃあそろそろ私帰るね｣
「…え」
「今日はありがとう！じゃあ、またね！｣
急に色んなことが恥ずかしくなって、バタバタと階段を駆け下り
リビングにいるであろう川島のお母さんに聞こえるように「お邪魔しました！」少し大きめの声で挨拶をして
逃げるように川島の家を出た。
さっきまで降っていた雨は
いつの間にかすっかり上がっていた。
☆ここまで読んでくださってありがとうございますm(__)m
いっぱいになりましたので、次の更新から次章に移行します。
お付き合いくださると嬉しいです^^
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作者名：ユチコ | 作成日時：2018年7月1日 12時
