45、恋愛事情 ページ45
｢人の発育をネタに笑うとかあり得ないんだけど！｣
なんなのよって軽く膨れてたら
「なんだ、そっか。Aたちはまだだったんだ」
美香ががっかりしたようにため息をついた。
「なんかさぁ。最近、光輝と会ってもそればっかりになっちゃって。
私はもっと映画行ったり遊びに行ったりいろんなことしたいんだけどね」
頬杖をつきながらもう一度大きなため息を漏らす美香が、妙に色っぽい……。
「まあ、高野も高校生男子だし。
頭の中、それでいっぱいなんじゃないの？｣
茜の言葉に
「そんなもんかな」美香が笑う。
分かり合ってるようなふたりの会話に、私ひとりだけ全然ついていけてない。
「…ちょっと。美香はともかく、なに茜まで知ったかぶりしてるのよ〜」
仲間外れにされたような気になって、少し意地悪なことを言ったら。
茜から
「あ〜…、えっと、実はさ」
びっくりするような答えが返って来た。
「……は？はぁ!?ウソでしょう!?｣
教室中にこだまする美香と私の声。
しーっと指を立てる茜に、ふたりでずいっと詰め寄った。
「なに？じゃあ、お兄ちゃんの友達とシちゃったの!?」
「ウソ…。茜、付き合ってる人いたんだ…」
「や、付き合ってないよ。春休み中の話だし、それっきり会ってもいないし｣
し、信じられない。
付き合ってもいない人とそんなことするなんて。
しかも春休み…って、私が川島から電話が来たとか来ないとかって騒いでいた時じゃない。
「ごめんね、話すタイミングを見失っててさ」
「わー、びっくりしたわ。でも年上とかちょっと羨ましいけど｣
笑って、なんてことないように話す茜と美香。
去年、クリスマス会で美香と高野のことを聞いた時はただ恥ずかしかっただけなのに。
今回は違った。
恥かしいのと、ショックだったのに加えて
手も繋いだことのない自分の恋愛が
まるでママゴトのように感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユチコ | 作成日時：2018年7月1日 12時
